先日終了しました下記のワークショップにつき、当日の模様を簡略ながらご報告します。
日時:2023年3月24日(金)14時~17時
場所:ZOOM
参加者数:37名
登壇者:
■ 中村長史(東京大学大学院総合文化研究科特任助教)セッション1・2
■ 生田祐子(文教大学国際学部教授)セッション2
1.目的
「学習者の学びを促すための模擬国連の授業への効果的導入について
学ぶ」という目的のもと、より具体的には、下記の到達目標を定めました。
①模擬国連の教育手法としての特徴を説明できるようになる
(
セッション1に相当)
②模擬国連の実施の手順を説明できるようになる
(
セッション1に相当)
③模擬国連を英語で実施する場合の留意点を説明できるようになる
(
セッション2に相当)
④時間や受講者の既有知識によって模擬国連の方法を使い分けられるようになる(
セッション1, 2に相当)
(
セッション2に相当)
2.概要
【1】趣旨説明(14:00~14:10 )
ワークショップの目的や構成を確認した後、各人の参加動機を改めて言語化していただきました。
【2】 セッション1「模擬国連導入事例から学ぶ」(14:10~15:20)
模擬国連の概要と東京大学教養学部の授業への導入例について授業担当教員の中村からお話しました。模擬国連を導入する目的(中村の授業の場合は、国際関係論の知識を使いこなせるようになることや、利害や価値観が異なる人々と合意を形成できるようになること)を明確化する必要があり、模擬国連はあくまでも手段であるという点を再確認する機会となりました。
セッション1の様子
【3】セッション2「英語での模擬国連導入事例から学ぶ」(15:40~16:50)
セッション1で確認したように、模擬国連はあくまでも手段です。授業の目的によって様々な模擬国連の進め方があり得ます。そこで、生田祐子先生から、英語で模擬国連を実施する場合の留意点について具体例とともにご紹介いただきました。言語(英語)教育をご専門に研究されている立場から、国際社会における言語観を踏まえ、「リンガフランカとしての英語」を模擬国連を通して学ぶことを意識しているとお話になったのが印象的でした。セッション1で紹介した中村の授業とはまた異なる目的を明確に持っていらっしゃる生田先生の授業事例をご紹介いただいたことで、各人の導入目的や環境に合った「Taylor-madeの模擬国連」を目指そうという本ワークショップの趣旨が一層クリアになったように思われます。
セッション2の様子
【4】まとめ(16:50~17:00)
まとめでは、本日学んだことや疑問に思ったことと、それを踏まえて翌日以降に各人の現場に持ち帰るものとを確認しました。
3.参加者の感想
参加者の方々からは、以下のような感想が寄せられました。一部抜粋します。
- 模擬国連について再発見するところがありました。模擬国連での発言やポリシーペーパー、決議案では、本日のお話を拝聴して、logos(論理)、 pathos(情熱)も大切ですが、もしかしたらethos(信頼)が大切なのかなと思いました。ありがとうございました。
- 教育現場で実践されている「学び合い」の基本姿勢と親和性があり、高校での実現可能性が高いと感じられた。
- 私の経験では、従来の模擬国連は何より「会議」中心で、中村先生が話した会議前・会議後がそれほど重視されていません。私はそれが教育ツールとしての模擬国連のポテンシャルを限られたものにしてしまうと思いますから、会議前・会議後に積極的に重点を置くことが素晴らしいと思います。
- 自身の専門が英語ですので、自身の授業改善にも大変参考になりました。生徒への動機付けにも大変役に立ちます。
- 模擬国連を英語の授業で試してみたいというときにワークショップを受講でき、有意義でした。
4.次回予告
2023年度も引き続き定期的(9月・3月予定)に開催していければと考えています。皆様のご参加をお待ちしております。
お問合せ先
教養教育高度化機構 アクティブラーニング部門(担当:中村長史)
dalt[at]
kals.c.u-tokyo.ac.jp
はじめに
2021年度に引き続いて、2022年度Aセメスターも開講しました。
授業では、全部で6グループ(うち2グループは一人ずつ)がオープンエデュケーションに関する教材を作成しました。そのうち、公開を希望するグループの教材をここで公開することになりました。
1月中旬に授業が終了した後、教材の著作権や内容について授業担当教員等で確認し、必要な場合は学生たちが修正しました。これらを経て、最終版の教材を公開します。
授業での講義や議論、調べた内容に基づいて、学生なりにオープンエデュケーションについてまとめた教材です。至らぬ点もあるかと思いますが、ぜひご覧いただき、またご自身のオープンエデュケーションに関する学習に役立てていただけますと幸いです。
教材① Open Education for Everyone
中村莉久さんが作成した教材『Open Education for Everyone 〜「誰もが」学ぶ新しい教育』です。オープンエデュケーションの定義や事例といった基本的な内容がまとめられています。
中村さんからは、授業や教材づくりについて次の感想が届いています。
オープンエデュケーションという取り組みについて時に話し合いなどを介して、様々な視点から学ぶことができた。また教材づくりでは、どうまとめるかを考えながら知識の伝え方を学ぶことができた。
教材は下記リンクよりご覧ください。
教材は
こちらから。
教材② それOERっぽくね?
Yさん、AGさん、福井雄真さん、たつきさんという4人によるグループが作成した教材『それOERっぽくね?』です。Open Educational Resourcesの定義を踏まえた上で、自分たちなりに観点を設けてウェブ上のサービスを評価するという教材です。
グループの皆さんからは、次の感想が届いています。
法的概念の理解が必要だと感じた。理解の一助になれば幸いです。(Y)
アクティブラーニングの取り入れられたこの授業では、一般的な教室とは空間から異なる場所で、他の学生との意見交換も頻繁に行いながら学習が進み、楽しんで受講できました。作成した教材は短いスライドで簡潔にまとめることが意識されているので、OERを初めて学ぶ方に役立てていただければと思います。(AG)
OERについて予備知識の無いところから受講を開始し、チームの方々や他の受講者の方、そして担当頂いた先生のご助力のおかげで公開することができました。お礼申し上げます。授業を通じては、OER”的”なものは身近に既に存在している一方、OERの定義や存在意義を十分に満たすものは中々見つかりづらいという点に驚きました。学習者の皆様とも、この教材を通じて私の驚きを共有できれば幸いです。(福井雄真)
統一感のあるデザインをこころがけました。オープン教材は身近なところに転がっているが、その度合いはさまざまであることがわかりました。(たつき)
教材は下記リンクよりご覧ください。
教材は
こちらから。
おわりに
教材をご覧いただき、ありがとうございました。また、いかがでしたでしょうか?
これらの教材は、授業で理解した内容を学生なりにまとめたものです。学術的な定義を扱いつつも、独自の視点でまとめ直しています。異なる解釈がある点や、別のまとめ方ができる点もあるかと思います。いずれの教材も、CCライセンスを明記しており、その範囲内でご利用いただけます。OER(Open Educational Resources)では、教材の改善が行われますし、それにより教育改善が促される可能性があります。ここで公開している教材についても、教材の改善や教育改善に資することができれば良いなと考えています。
お問い合わせ
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構
アクティブラーニング部門
中澤明子