初年次ゼミナール

初年次ゼミナールとは

●背景

初年次ゼミナールは、2013年に発表された東京大学の「学部教育の総合的改革に係るアクションリスト」で掲げられた、『「教え授ける」(ティーチング)から「自ら学ばせる」(ラーニング)への転換』を目指す取り組みの一環として設計された少人数チュートリアル授業です。学生に基礎となる学術的スキルを早期に習得させるとともに、学士課程全体を通して能動的な学習への動機づけを図ることを目的としています。具体的には、1クラス20名程度の規模で、教員と学生がお互いに顔の見え合う、よりきめ細かな指導によるチュートリアル方式の授業を通して、受動的な知識を授かる形での学びの意識を変革して、自発的に学習する姿勢の涵養を目指します。

初年次ゼミナールは、文科理科ともにすべての学生が受講しなければいけない、基礎科目必修2単位の授業で、第1セメスター(第1・第2ターム連続)に開講されます。文系理系の多様な分野の教員が1週間の曜限のなかで、多様な分野の課題に即した授業を展開します。学生がどの授業を受講するかは選択制で、各担当教員が専門性を活かした授業内容をシラバスに詳しく記し、学生はその情報にもとづいて、クラスごとに指定された曜限に開講される授業の中から、履修したい授業を複数登録します。

以上のような、初年次ゼミナールの目的とクラス編成の方法は文科と理科で共通ですが、授業内容や実施体制の点で次のような違いがあり、文科生対象の「初年次ゼミナール文科」と理科生対象の「初年次ゼミナール理科」に分けて実施されています。

●初年次ゼミナール文科

1993年度から2014年度まで20年以上の歴史をもつ文科生対象のチュートリアル授業「基礎演習」の内容を発展的に組み替え、必須事項として、①アカデミック・スキル(人文・社会科学における研究技法や研究倫理)の教授、②文献検索実習の実施、③アカデミック体験(教員の専門性を活かした人文・社会科学の学問への導入)、④小論文(学術論文の体裁をふまえた初年次論文)執筆の4点を授業の核とします。実施体制は基本的に教養学部に運営委員会を置く基礎演習の体制を継承していますが、授業数が増大することに対応して全学の人文・社会系学部、研究所等からも出講を受け付け、担当教員を拡充しました。

●初年次ゼミナール理科

2015年から開始された本授業は、100種もの多様なテーマの授業が同じセメスターに開講される授業です。全学の理系学部・研究科、研究所に、授業担当教員の派遣という協力を得ることにより実施されています。すべての授業が備えるべき必須事項として、①サイエンティフック・スキル(自然科学における基礎的な研究技法)の教授、②アカデミック体験(教員の専門性を活かした自然科学の学問への導入)、③グループによる協同学習、④プレゼンテーションやレポート・論文による発表の4点が挙げられます。

初年次ゼミナール文科・理科の授業の学習成果は、その後の英語IIでの論文作成を行なう授業であるALESA (Active Learning of English for Students of the Arts)やALESS (Active Learning of English for Science Students) 、第3ターム以降に習熟度別授業として開講される展開科目(「人文科学ゼミナール」、「社会科学ゼミナール」、「自然科学ゼミナール」)、基礎実験、海外留学など、そしてさらに後期課程における専門的な学びへと継承され、以後の学生生活の基盤となるものです。

●部門の取り組み

このような新しい授業について統一性をもって運営していくにあたり、教養教育高度化機構EX部門では、所属教員が初年次ゼミナール文科・理科の授業を担当するとともに、授業担当教員と授業をサポートする学生ティーチングアシスタント (TA) の授業配置、Faculty developmentとTAトレーニングの実施、授業ガイドラインの作成、授業用の共通教材の作成、授業時間外学習活動の学生サポート(ラーニングコモンズの企画・運営)などを行っています。また、イベントや広報活動を通じて部門の活動成果を社会へと発信しています。

関連ページ

トップページ/

関連ページ