先日終了しました下記のワークショップにつき、当日の模様を簡略ながらご報告します。
日時:2023年9月21日(金)14時~17時
場所:ZOOM
参加者数:27名
登壇者:
■ 中村長史(東京大学大学院総合文化研究科特任講師)セッション1・2
■ 平野実晴(立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部助教)セッション2
■ 根岸陽太(西南学院大学法学部准教授)セッション2
■ 二杉健斗(大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授)セッション2
1.目的
「学習者の学びを促すための模擬国連の授業への効果的導入について
学ぶ」という目的のもと、より具体的には、下記の到達目標を定めました。
①模擬国連の教育手法としての特徴を説明できるようになる
(
セッション1に相当)
②模擬国連の実施の手順を説明できるようになる
(
セッション1に相当)
③模擬裁判の教育手法としての特徴を説明できるようになる
(
セッション2に相当)
④模擬裁判の実施の手順を説明できるようになる(
セッション1, 2に相当)
(
セッション2に相当)
2.概要
【1】趣旨説明(14:00~14:10 )
ワークショップの目的や構成を確認した後、各人の参加動機を改めて言語化していただきました。
【2】 セッション1「模擬国連導入事例から学ぶ」(14:10~15:20)
模擬国連の概要と東京大学教養学部の授業への導入例について授業担当教員の中村からお話しました。模擬国連を導入する目的(中村の授業の場合は、国際関係論の知識を使いこなせるようになることや、利害や価値観が異なる人々と合意を形成できるようになること)を明確化する必要があり、模擬国連はあくまでも手段であるという点を再確認する機会となりました。「模擬国連は学びのフルコース」だといわれることもある程学べることが多岐にわたる手法であるがゆえに、明確な導入目的を受講者にあらかじめ伝えたうえで実施する必要があるという点を特に強調しました。
セッション1の様子
【3】セッション2「模擬裁判導入事例から学ぶ」(15:40~16:50)
セッション1で確認したように、模擬国連はあくまでも手段です。授業の目的によっては模擬国連以外の手法が適切な場合もあり得ます。そこで、3人の先生から、模擬裁判を授業に導入する場合の留意点について具体例とともにご紹介いただきました。勝敗がつく裁判を模擬の対象とする以上、(合意形成に向けて論理のみならず妥協も重視する模擬国連とは異なり)法的論理の構築が最重要だとお話になったのが印象的でした。セッション1で紹介した模擬国連との異同を意識しながら模擬裁判についてご紹介いただけたことで、各人の導入目的や環境に合った「Taylor-madeの模擬国連/模擬裁判」を目指そうという本ワークショップの趣旨が一層クリアになったように思われます。
セッション2の様子
【4】まとめ(16:50~17:00)
まとめでは、本日学んだことや疑問に思ったことと、それを踏まえて翌日以降に各人の現場に持ち帰るものとを確認しました。
3.参加者の感想
参加者の方々からは、以下のような感想が寄せられました。一部抜粋します。
- 模擬国連や模擬裁判についてあまり知らなかったが、両者の違いや目的、準備や実際の流れなどを具体的に知ることができてよかった
- 模擬国連は『フルコース』であるがゆえに、導入目的を明確化し、優先順位をつけながら準備をすすめていく大切さを学ばせていただきました
- 改めて、模擬国連は魅力的な取り組みだと感じましたので、参加する生徒のサポートを最大限できるように、私もさらに勉強しようと思いました
4.次回予告
引き続き定期的(9月・3月予定)に開催していければと考えています。皆様のご参加をお待ちしております。
お問合せ先
教養教育高度化機構 EX部門(担当:中村長史)
dalt[at]
kals.c.u-tokyo.ac.jp
先日開催しました下記のワークショップに関して、当日の模様を簡略ながらご報告します。
チラシPDF
日時:2023年9月3日(日)14時~17時
場所:オンライン
参加者数:6名
1.概要
東京大学総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構EX部門では、2023年度Sセメスターに全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」を開講しました。本イベントは、その授業の中で特に優れた授業案を設計した学生が、高校生を対象とした授業を実施するものです。2020年度より毎年開催しており、4回目の開催となりました。オンライン(Zoom)での開催でしたが、講師の学生は可能な限り双方向性を保てるような授業案を設計してイベントに臨みました。
2.プログラム
14:00~14:30
趣旨説明:中村長史(東京大学大学院総合文化研究科 特任講師)
14:30~15:20
授業「SDGs in Japan~企業にできることはなんだろう~」:平野沙也加(東京大学教養学部2年)
15:20~15:40
休憩
15:40~16:30
授業「SDGsマスターへの道~”達成”に向けてできることを考えてみよう~」:大石菜月(東京大学教養学部1年)
16:30~17:00
まとめ:中澤明子(東京大学大学院総合文化研究科 特任准教授)
3.授業の内容
「SDGs in Japan〜企業にできることはなんだろう〜」は、SDGs達成に向けた企業の取り組みについて考えることを中心に据えた授業でした。まず、参加者はクイズや概説を通じて日本のSDGs達成状況を確認した後、具体例を交えながら日本企業の取り組みやSDGsウォッシュ問題について学びました。続いて、自身が企業の一社員となったことを想定し、「製造業」と「小売業」の2グループに分かれて、SDGsの目標12〜15にアプローチできる取り組みを考えるグループワークを行いました。
「SDGsマスターへの道〜“達成”に向けてできることを考えてみよう〜」は、SDGsの“達成”をひとつの側面として取り上げた授業でした。授業内では、①SDGs“達成”について自分の言葉で説明できる、②“達成”に向けて自分たちにできることを考える、という2つの目標を達成するべく、講師からの講義の後、参加者がそれぞれ考えた“達成”に近付くために、グループで自分たちにできることを話し合い、それを全体で共有しました。
4.授業を行った学生の声
授業を行った2人の学生に、参加者の反応はどのようなものであったか、そして授業を実施した感想を聞いてみました。
一から授業を組み立て、さらに実践するというのは初めての経験で、準備段階から本番に至るまで様々な失敗や苦労もありましたが、無事に授業を完成させることができて嬉しく思います。参加人数はあまり多くはなかったものの、その分、グループワークやアイディア共有が積極的に行われた印象があり、参加者同士が密に交流することができるワークショップになったのではないかと思います。私自身、「このトークテーマは難しすぎるかも…」「まとまりのある話し合いができるかな」など不安を抱えつつのワークショップだったのですが、いざ蓋を開けてみると、参加者の皆さんが高い意欲と発想力でたくさんの魅力的なアイディアを出してくださって安心しました。この授業を通じて、SDGsへの関心を高め、自分もSDGs達成に貢献できる社会の一員なんだ!という自覚を持っていただけていたら幸いです。(平野沙也加)
「授業はひとつのストーリー!」。Sセメスターに開講された、全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」を受講した際に私が学んだことの一つです。授業準備では、このストーリーをつくるということに最も頭を悩ませました。講師としての自分の頭の中では授業の自然な流れができているつもりでも、参加者の目線で授業を見直すと、飛躍があって分かりづらい。授業内で伝えたい知識や技能だけでなく、それらをいかにストーリーとして構成するか、ということも、授業には必要不可欠なことだと気付きました。ストーリーをつくるなかで、「このワークでは参加者はどんな意見を出すだろう?」と想定する必要がある場面もありました。いくつか想定していたのですが、実際に授業内で参加者同士のグループワークを覗いてみると、私が想定していた答えを遥かに超える質と量の意見がたくさん出ていて、私自身も大変勉強になりました。講師としても学習者としても、貴重な学びの機会を得ることができ、非常に嬉しく思います。(大石菜月)
お問合せ先
教養教育高度化機構 EX部門
dalt[at]
kals.c.u-tokyo.ac.jp
2023年3月17日、東大で授業を担当されている先生方を対象に、駒場アクティブラーニングワークショップ「ジグソー法を授業で活用する」を対面で開催しました。当日は 10 名の方が参加されました。当日の様子を報告します。
目的
本ワークショッフは、アクティブラーニングの手法の一つとしてよく知られるジグソー法を取り上げ、ジグソー法の基本的なやり方や効果、アクティブラーニング部門が開講した授業でのジグソー法導入の実例に関する情報提供とご自身の授業での活用について検討することを目的としました。
内容
アクティブラーニングの授業モデル開発として部門開講授業で検討してきたジグソー法の手順に則っ て、ワークショップそのものもジグソー法を用いて実施しました。具体的には、
- 個人での問いの思考
- 資料の読解
- エキスパート活動(資料ごとのグループで内容の確認、説明内容の検討)
- ジグソー活動(担当資料の相互説明、問いに関する議論)
- 個人での問いの思考
という手順で休憩やミニレクチャを挟みつつワークショップを進めました。
資料は、ジグソー法の背景、バリエーション、効 果・メリットの三種類を用意しました。「どのような目的・場面でジグソー法を活用できそうか」という問いについて、個人での問いの思考(手順1, 5)、ジグソー活動でのグループでの議論(手順4)を行いました。ジグソー活動での議論内容を全体で共有した後、ミニレクチャではジグソー法の活用の実例として、部門開講授業の事例を紹介しました。その後、個人での問いの思考(手順5)では、参加者自身の授業について、どのような目的・場面でジグソー法を活用できそうかを思考してもらい、その内容をグループで共有しました。最後に、ワークショップのふり返りとしてジグソー法について新しく知ったことを書き出してもらいました。
当日の様子と参加者の反応
ワークショップ後のアンケート(5名が回答)の結果を簡単にご紹介します。
「今後の授業準備・実施に役立つものでしたか」、「本ワークショップで扱った内容をご自身の授業で活用できると思いますか」については、とてもそう思うが3 名、そう思う1 名、どちらとも言えない 1 名という回答でした。 「本ワークショップへの参加を周りの教員に勧めた いと思いますか」に対しては、とてもそう思う 3 名、そう思う 2 名でした。全体的に好評価を得たと考えられるものの、「本ワークショップは、ご自身の授業準備・実施に関連していると思いましたか」 という質問について、そう思わないという回答が1 名ありました。ご自身の授業目的を踏まえた検討の結果、このように感じられたのかもしれません。
ジグソー法は、分野を問わず活用可能な手法です。また、学生による発表をジグソーグループの枠組み(異なるグループのメンバーから成るグループで発表)で行うこともできます。授業目的や学習目標に応じて授業手法の選択をすることは当然ではありますけれども、その授業手法の選択肢としてジグソー法を加えてみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ
教養教育高度化機構EX部門(旧アクティブラーニング部門)
アクティブラーニング普及促進プロジェクト
dalt[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp
※[at]を@に書き換えて送信してください