授業概要
アクティブラーニング部門では2016年度より全学自由研究ゼミナール「学生がつくる大学の授業―反転授業をデザインしよう!」を開講しました。
反転授業とは、「授業と宿題の役割を『反転』させ、授業時間外にデジタル教材等により知識習得を済ませ、教室では知識確認や問題解決学習」などのアクティブラーニング活動をおこなう授業形態を意味します(重田 2013)。教室を「教わる場」から「より学ぶ場」に転換するアクティブラーニングを取り入れた教授・学習法のひとつといえます。
この授業では、学生が知識伝達型の授業を「反転授業形式」にデザインすることで、学生主体の学びのあり方について理解を深めるとともに、教授者の視点を得ることで、学習者としてより深く効果的に学ぶ方法を身につけることを目指しました。
授業の流れ
この授業では、前半で、反転授業の概要(特徴、教育効果、メリット・デメリット等)、授業デザインの技法、アクティブラーニング手法について、講義やワークを通じて学びました。中盤では、反転授業のコンテンツとなる知識伝達型の授業(ミニレクチャ)を受け、内容理解を深めました。ミニレクチャは、アクティブラーニング手法を取り入れた授業を展開している2名(文系1名、理系1名)の先生方に実施いただきました。後半は、ミニレクチャのコンテンツに関する反転授業を、理系2チーム・文系2チーム(1チームあたり2人)にわかれてデザイン・実践し、最後に、各チームの制作した反転授業を、フィードバックシートを用いて相互評価しました。
表1 「学生がつくる大学の授業」概要
授業回 |
授業スケジュール |
第1回 |
ガイダンス |
第2回 |
反転授業とは |
第3回 |
反転授業のデザイン方法 |
第4回 |
アクティブラーニング手法 |
第5回 |
ミニレクチャ(1)理系 |
第6回 |
ミニレクチャ(2)文系 |
第7回 |
反転授業デザイン(1) |
第8回 |
反転授業デザイン(2) |
第9回 |
コンテンツ制作(1) |
第10回 |
コンテンツ制作(2) |
第11回 |
対面授業(1)文系 |
第12回 |
対面授業(2)理系 |
第13回 |
振り返り |
学生たちの活動
この授業では、受講生は、授業デザインの技法、アクティブラーニング手法、動画制作の技能を学び、(1)授業デザインシート、(2)動画教材(約6分)、(3)対面授業の配布物(スライド、ワークシート等の補助教材)を制作し、(4)対面(模擬)授業(30分)の実施に取り組みました。
授業デザインの技法やアクティブラーニング手法は、講義で学んだだけで身につけられるものではないため、実際に体験してみたり、繰り返し練習する機会を毎回の授業で設けて、実践力を高められるようにしました。
学生たちの反応
授業後のアンケートなどでは、受講生から下記のような感想が得られました。
・アクティブラーニングを取り入れた授業は、学⽣の思考や積極的発言を促すことを学んだ
・(教員中心で)予定調和的に教えるのでもなく、(学生中心で)まったく指導しないのでもない教え方を実践するのが難しかった
・授業づくりを通じて、授業(ミニレクチャ)の内容に対する理解が深まった
・教員の意図や期待により意識的になり、自身の学習態度が変わった
・受講している他の授業でも、より意見を述べるようになり、教員から授業改善のアイディアを聞かれるようになった
参考文献
重田勝介(2013). 反転授業 ICTによる教育改革の進展. 情報管理, 56 (10): 677-684.
(小原優貴・福山佑樹・吉田塁)
授業概要
この授業では、「学生のみなさんが伝える力を向上させる」ことを目的とし、そのために「良い授業づくりの方法について学び、模擬授業を実施する」という方法をとります。
その理由は、「良い授業」には「良い伝え方」につながる考え方や方法が多く含まれているためです。
また、知識だけでなく実践も重要と考えているため、模擬的な授業を実施する機会もとりいれました。
授業の流れ
良い授業の作り方を学ぶ(第1回~第3回)
まずは、良い授業の作り方について、講義やグループワークを通して学びます。
具体的には、話し方、立ち振る舞い方、授業の設計、スライドデザイン、ファシリテーションなどを学びます。
また、ただ受動的に聞くだけはなく能動的に学ぶ、効果的なアクティブラーニング型授業の作り方についても学びます。
大学院生の模擬授業をうけて検討する(第4回~第6回)
大学院生、つまり先輩たちの模擬授業を受けて、その模擬授業の良いところ、改善できるところを検討することによって、より良い授業の作り方を学びます。
また、工学、理学、文学、社会学など理系文系問わず幅広い分野の研究をしている大学院生が模擬授業をするため、進学選択など今後の大学生活の参考にすることもできます。
一人ひとりが模擬授業を作り、実施する(第7回~第12回)
これまでに学んだ良い授業の作り方をふまえて、学生一人ひとりが授業作りに取り組みます。
大学院生の模擬授業を検討しながら、徐々に自分の授業のデザインをかためていき、グループ内で模擬授業をして、相互にフィードバックを行います。
そして、改善された模擬授業を全員の前で実施します。
授業スケジュール
回 |
タイトル |
1 |
ガイダンス |
2 |
自己紹介 |
3 |
授業デザイン |
4 |
大学院生の模擬授業 |
5 |
大学院生の模擬授業 |
6 |
大学院生の模擬授業 |
7 |
テーマ発表 |
8 |
模擬授業の練習 |
9 |
模擬授業の検討 |
10 |
模擬授業の練習 |
11 |
模擬授業 |
12 |
模擬授業 |
13 |
振り返り |
授業の一場面
第13回では授業の振り返りを行いました。
学生は、「授業を通して学んだこと」と「授業自体の改善点」をまず1 人で考えて、3~4 人のグループで考えたことを共有して発展させて、それをホワイトボードにまとめました。
そして、その後、各グループの人が1 人ずつ集まる新たなグループを作って、ポスターツアーを行いました(ポスターツアー参照)。
また、それぞれ一人ひとり授業の感想をガラス黒板に書いてもらいました。
まず、授業を通して学んだこととして、多くの学生が挙げていたのが「フィードバックの重要性」でした。
この授業では、自己紹介、テーマ発表、模擬授業の練習、模擬授業の検討、模擬授業で、相互評価(ピアレビュー)する機会を豊富に設けました。
それらのピアレビューを通して、自分では気づかなかったことを気付き、発表の質が段々と上がっていったことが、そのような学びにつながったと考えられます。
授業自体の改善点では、フィードバックの方法を挙げている学生が多く見られました。
授業が進むと同時に、学生同士が仲良くなり、相互に批判的なフィードバックがしにくくなったようです。
批判的なフィードバックの方がその人のためになるということがわかっていても、批判的かつ相手を傷つけないフィードバックの方法がわからなかったため、有意義なフィードバックができなかったという思いがあったようです。
そのため、今後の授業におけるピアレビューを用いる際は、建設的なフィードバックの方法についてより詳細に言及しようと感じました。
授業の最後の回で振り返りを実施して、学んだことを共有してもらうことで授業内容の復習および定着が促せたと感じています。
また、学生から授業自体のフィードバックを受けることで、より良い授業にするヒントが得られました。
授業全体に対する学生の感想
・少人数に加えて、毎回席が変わるシステムだったので、学年も科類も違う方と親しくなれて良かったです
・良い授業を理論的に分析できて良かった
・自分が話しているところを撮影して客観視したのは初めて( 話している時のクセを知って衝撃を受けた)
・駒場に来て1 番ためになる授業だった( グループワークたくさんできたし、色々な人の意見が聞けて良かった)
(吉田塁)
Active Learning Seminar:?Slideshow design principles
Division of Active Learning and Teaching of Komaba Organization for Educational Excellence (KOMEX) will hold a workshop at Komaba Active Learning Studio (KALS). The details are below.
Title
Slideshow design principles: communicating & presenting in a visual way
Lecturer
John Augeri, Deputy Director, Paris Ile-de-France Digital University
Date & Time
Friday, February 10, 2017 1:30pm-3pm
Location
Komaba Active Learning Studio (KALS), 2nd. Floor, Bldg. No. 17
http://www.kals.c.u-tokyo.ac.jp/access.html
Abstract
The slideshow is now an essential communication medium in academia and in professional activities, so that the term “PowerPoint” has entered the common language. But the readability of a slide is not only the level of practical software. Screenwriting, quantity and nature of the text, hierarchical elements, using images and animations are all parameters that can make a slideshow fully effective or best way to make about the speaker completely unintelligible. The lecture is provided for Paris’ universities’ academics staffs and master cource/PhD students since 2008. It will provide an overview of the principles of slides’ production, regardless of the software used. It will integrate the fair use of colors and fonts, prioritization techniques and emphasis, displaying photos elements. The overall design of the slideshow as a standalone document or as a support for an oral presentation will also be discussed.
Eligibility
Faculty members and graduate students at the University of Tokyo(Capacity: 40 persons)
Registration
https://goo.gl/forms/Ev6xj7qTDWDBGIYJ3
We look forward to your participation!
(Lui Yoshida)