東京大学教養学部全学自由研究ゼミナール「平和のために東大生ができること」(通称:軍縮ゼミ)では、
駒場博物館で行われている「越境するヒロシマ」展のサイドイベントを行いました。「僕らが見つめる戦争の記憶」というトークセッションです。
軍縮ゼミでは、初めて出講した2011年度夏学期から、繰り返し、被爆証言の提示の仕方について検討してきました。被爆証言を崇高なものとして単に英訳して世界に発信することに甘んじるのではなく、それが世代を超えて、あるいは地域を越えて伝わったときに、誤解を産んだり悪意を持って受取られたりする可能性も視野に入れた上で、これから世界を動かしていく世代は、被爆証言をどのように「利用」して何をどのように伝えることで、理想的な世界を作ってゆけるのかを、いろいろな観点からの取り組みやディスカッションを通じて考えてきたのです。
今回のイベントもその流れのひとつです。日本が経験した辛い戦争から2世代離れ、現代に起こっている紛争からも地理的に離れた平和な日本に暮らす、でも明日の日本を背負って行かなければならない若者として、戦争体験や被爆証言とどのように向き合い、どのように消化し、それをどのように表現してゆくのか。岩波ブックレットの『非核芸術案内――核はどう描かれてきたか』の著者で、丸木美術館の学芸員である岡村幸宣さんをお招きして、学生たちがトークを行いました。