先日の田村氏の講演内容について、まとめたいと思います。
キャンパスとの調和
駒場キャンパス全体として調和がとれ、学生が使いやすいように21 KOMCEEの設計には様々な工夫がなされています。
まず、駒場キャンパスは1号館を中心に低層の建物が配置されています。そのため、21 KOMCEEも地下を利用し、8号館に隣接する部分は4階、もう一方も5階建てに抑えることで外観的なバランスがとられています。また、21 KOMCEEの壁面は9号館よりさがっていますが、その分のスペースをそろえるために、メインエントランス前のファサードがつくられています。
設計ではキャンパス内の人の動きについても考えられています。駒場のメインストリートとも言えるイチョウ並木ですが、動線の主軸であるイチョウ並木だけでは横の移動しかできず、グラウンドに行きにくいといった問題がありました。この問題を解決するために、21 KOMCEEの壁面は、主軸に直交する副軸として8号館に新たにつくられたピロティにそろえられています。
また、樹齢120年の大樹、クスノキの保存は設計における大きな課題でした。クスノキを切らずに残すために、クスノキの周り3方を囲んで地下に建物を建てるにあたり、樹木医と呼ばれる樹木保護の専門家にも意見を仰ぎ、設計はすすめられました。
設計に際し、歴史や生物といった既にあるものから学び、そこからヒントを得て新しいものを創っていく姿勢というのが興味深かったです。田村さん、ご講演ありがとうございました。
(文責:金子)