先日の田村氏の講演についてまとめたいと思います。
設計士とは
まずはじめに設計士、というのはどのような人なのかというと、設計図を書く人のことです。
こう言うとなんだか簡単な仕事に聞こえるかもしれません。
しかしそんなことはなく、21 KOMCEEの設計に当たっては2000人もの人が製図に当たり、120枚もの設計図が作られたそうです。
建築のデザイン
建築物は、普通の工業製品と違いあらゆる人に開かれたものです。
なので、普通のプロダクトデザインとは異なり、使う人や建築物の建つ環境のことも考慮に入れながら設計しなくてはなりません。
建築のデザインには、このようにあらゆる要素を思慮に入れなくてはならないという難しさがあります。
21 KOMCEEの設計コンセプト
21 KOMCEEの設計コンセプトには、大学側からの「新しい東大を象徴するような建物」という期待、またゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)やアクティブラーニングといった新たな試み、そして何よりこの建物を使う学生や教員の使い勝手や居心地といった要素が含まれています。
アクティブラーニングに適した教室設計
旧来からの教員が教壇に立ち、学生は皆黒板の方向を向いて受動的に講義を聴くというスタイルではなく学生同士が顔を見合わせ、相互に聞いたり教えあったりしながら授業を進め、学習するというのがアクティブラーニングで
近年このようなスタイルの授業方法はMIT(マサチューセッツ工科大学)をはじめ様々な教育機関で導入が始まっています。
アクティブラーニングにおいては、当然ながら学生はてんでばらばらの方向を向いて授業を受けます。
そこで21 KOMCEEの教室の形は、学生の方向や教員の立つ位置に方向性を持たせないように、できる限り長方形ではなく正方形に近づけるよう工夫がなされています。
緊張と親和の共存
建物を使う人への居心地のよさへの配慮として、緊張空間と親和空間の共存があります。
講義室という緊張空間を建物の左右に、ソファなどが置かれ一息つける親和空間を中心に配置することによって
1つの建物の中に緊張と親和の領域が共に存在しています。
建築の設計というものは本当に難しいものであり、またそのような困難の上で、一つの建物の設計に、こんなにも多くの配慮がなされているというのが本当に驚きでした。
田村さん、貴重なお話をありがとうございました。
(文責:間下)