前回まではブックレポートや、ウズベキスタンでの日本紹介の為のFWについて書いた。しかし私のブログ記事ではまだウズベキスタン自体について記していなかった。そこで今回はウズベキスタンの経済について記して見ようと思う。
ウズベキスタンの基本情報を述べると、人口は2600万人でCIS諸国の中で最大の人口を誇っている。産業としては、特にソ連時代から綿花産業に代表される軽工業が盛んである。
ソ連崩壊後、多くの国が急進的な経済改革を行ったことで多くの国で混乱が生じた中、ウズベキスタンのカリモフ大統領は共産主義体制から資本主義体制への「漸進主義」を掲げ、他のCIS諸国とは異なる独自路線を歩んできた。この政策の中では、共産主義体制から資本主義体制への緩やかな移行が図られた。例えば、他のCIS諸国が経済的に混乱する中、ウズベキスタンは比較的堅調な経済を維持していた。例えば、ソ連崩壊後のGDP堅調は比較的堅調であったし、CIS諸国の中で大きな影響を及ぼしているルーブルの暴落(ルーブル危機)が起きた時にも、ウズベキスタンへの影響は限定的であった。
また当局による経済介入は貿易の抑制につながったため、国内産業の保護が実現した。具体的には、ウズベキスタンにおいて農業は貿易抑制による恩恵を受けた。
しかしこうした状況にも近年、問題が起きていることも事実である。ウズベキスタンとる漸進主義が、ある種の限界を示しているということだろう。では一体、どのような点で漸進主義の限界が現れているのだろうか?
その一例として挙げられるのが、国と企業の関係である。政府は漸進的に資本主義的な市場へ移行する方策として、企業の管理システムの変更や、所有法に代表されるような、
政府は資本主義的な市場へ移行する方策として、管理システムの変更、「所有法」に代表される私有化促進の法体系、価格自由化などの改革を行った。
しかしながら実際は、様々なところで資本主義市場に移行したとは言えない側面がある。例えば、不当な価格付けを防ぐとの名目で政府が市場介入を行ったり、政府が規制を働かせる事によって事実上貿易を制限したりしている。また、株式会社化が未完了であるなど、まだまだかなりの、国による統制が存在していると言える。
また漸進主義の弊害は、金融部門においても存在している。ウズベキスタンでは長期に渡って、公式レートと非公式レート(所謂闇レート)が存在していた。国営企業の中には、2つのレートの価格差を利用して利潤を得ていた企業も多かったため、輸出状況が改善しないなど多数の問題が発生していた。
現在ではこうした2つのレートは統一され、IMF8条国にもなった。しかしながら現在でも非公式な為替レートが存在しているとの情報もある。こうした背景には、ウズベキスタンの通貨であるスムが安定していないという要因がある。
金融部門における他の問題点としては、銀行制度が未整備で、多くがまだ国有銀行であることも挙げられる。こうした背景には、まだまだ制度改変が進んでいないということに加えて、銀行制度を整備していくような人材が不足していることも挙げられている。こうした点に関しては、今後日本のJICAなどが積極的に支援してことのできる分野であると言える。
以上のように、政府と企業の関係、金融の2つの側面を見ただけでも、まだまだウズベキスタンが未成熟な経済体制を敷いていることがわかる。こうしたことが事実であるかどうかを、ウズベキスタンに訪問した際には確認してきたいと思う。
(文責:文科二類2年 西田夏海)