オンラインワークショップ「オンラインでこそアクティブラーニング:アクティブで双方向的な授業のヒント」開催報告

2021年9月8日、東大で授業を担当されている先生方を対象に、オンラインワークショップ「オンラインでこそアクティブラーニング:アクティブで双方向的な授業のヒント」を開催しました。定員を超える方々の申込みがあり、当日は13名の方が参加されました。ここでは、当日の様子を報告します。

目的

3月に開催したオンラインワークショップでは、「オンライン授業では学生の様子がわかりにくいこと」や「学生の状態を把握しにくいこと」、「学生からの反応がないこと」、「学生との信頼構築」など、教員と学生とのコミュニケーションや双方向性の確保に関する課題が多く挙げられました。 そこで、本ワークショップでは、オンライン授業における学生の状況把握やコミュニケーションといった双方向性を保ち、授業をアクティブにするためのポイ ントや手法について理解すること、具体的な手法や研究知見を参考にしつつ、グループでのディスカッションやワークを通じて情報共有や課題解決を目指すことを目的としました。

内容

趣旨説明の後、参加者はグループ(ブレイクアウトルーム)に分かれて互いの自己紹介とワークに取り組みました。ワークでは、教員と学生とのコミュニケーションや双方向性の確保に関する3つの課題への対処法について、参加者の経験やアイデアに基づきGoogleスライドを使いながら議論しました。全体での共有の後、ミニレクチャではTPACK(Technological Pedagogical Content Knowledge)の枠組みを紹介し、テクノロジに関する知識だけでなく教育学的な知識も重要であることを確認しました。そして、ワーク2では、ジグソー法を使ってアクティブラーニングに関する教育学的な知識を学ぶことを伝え、各自が担当する資料を決めました。 休憩を挟んで後半は、ジグソー法を用いたワーク2を行いました。まず、アクティブラーニングの手法、アクティブラーニングに関連する理論や知見、授業運営のポイントの3つの資料のグループに分かれてエキスパート活動を行いました。その後、ワーク1のグループに戻ってジグソー活動を行い、ワーク1と同じ課題への対処法を検討しました。 最後に全体で議論内容を共有し、オンライン授業と対面授業との接続やワークショップ全体のふり返りを行ってワークショップを終えました。

当日の様子と参加者の反応

ワークショップでは、どのグループも活発に議論していました。参加者からは、「同じ悩みを共有しているあらゆる分野の先生方とお話しできてよかったです」や「さまざまな先生が色々ご苦労されていることを知って孤独感からは解放されました」といったコメントがあり、本ワークショップが、オンライン授業で陥りやすい教員の孤独感の解消の一助となったと思われます。 また、「自分の授業を振り返り、改善点は多々あるはずだと自覚はあったものの、想像以上に改善方法を学ぶことができました」や「授業のデザインが重要だということは初めて意識するようになりました」、「様々なテクノロジーを組み合わせればオンラインの特徴を生かしたアクティブラーニングができることがよくわかり、そのショーケースとして、このワークショップは非常に参考になりました」といった声が聞かれ、ワークショップそのものや内容が、授業デザインや授業改善、オンライン授業におけるアクティブラーニングの導入に役立った可能性が示されました。 一方で、「グループワークの時間が短く感じた」、「参加者同士の対話を長く」といった声が聞かれました。グループワークでは参加者どうしの意見交換が非常に活発で、それゆえ、時間が足りないという感想に繋がったものと思われます。また、さらに実践的な内容を望む声もいくつか聞かれました。こうしたご意見は、今後のワークショップや情報発信の検討に役立てていきたいと思います。  

お問い合わせ

教養教育高度化機構アクティブラーニング部門 dalt[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp ※[at]を@に書き換えて送信してください