2022年3月9日、東大で授業を担当されている先生方を対象に、オンラインワークショップ「オンラインでこそアクティブラーニング:オンライン授業の経験から対面授業を考える」を開催しました。当日は15名の方が参加されました。ここでは、当日の様子を報告します。
目的
これまで2回にわたって開催したオンラインワークショップでは、オンライン授業に焦点を当て、課題解決や双方向性の確保について検討しました。一方、2022年度は対面授業の実施が見込まれています。オンライン授業の経験は、対面授業のデザインや運営にも活かせるところが多いと考えられます。
そこで本オンラインワークショップでは、オンライン授業の経験に基づいて、対面授業をアクティブにするための授業設計や運営について検討しました。ご自身のオンライン授業の取り組みをふり返りほかの参加者と共有し、授業デザインの基礎や授業をアクティブにする際のポイント・留意点を確認した上で、対面授業に活かせる要素や手法などについて議論し、対面授業に活かしてもらうことを目的としました。
内容
趣旨説明の後、参加者はグループ(ブレイクアウトルーム)に分かれて互いの自己紹介とワークに取り組みました。ワークでは、オンライン授業のふり返りとして、満足した取り組み、手応えがあった取り組み、課題の解決方法を書き出し、ほかの人と共有して相互にコメントを行いました。
休憩を挟んだ後半は、対面授業について考える手がかりとミニレクチャで伝えました。ミニレクチャでは、一般的な授業デザインの流れを説明した後、アクティブラーニングを取り入れる際のポイントとして、インプットとアウトプット、個人とペアやグループの学習活動のサイクルを回すことを紹介しました。また、アクティブラーニング型授業の進め方の例や、オンライン授業・対面授業・ハイブリッド授業の違いやハイブリッド授業の実施のポイントを説明しました。
その後、二つ目のワークとして、「オンライン授業のうち、対面授業に活かせるところ」、「対面授業の課題や不安、悩みの解決策」を個人とグループで考え議論しました。
最後に全体で議論内容を共有しました。また、個人でワークショップのふり返りとして、ワークショップで新しく知ったことや気づいたことを「五・七・五」で表現してもらいました。
当日の様子と参加者の反応
「ヒントになる内容が多い」、「ワークがあり、アウトプットしながら進めることができた」、「他の分野の方と交流できたお陰で、自分の授業計画を十分に振り返ることができた」、「不安が緩和しました」といった感想をいただきました。
一方で、グループワークの時間が短いことや、ツールの操作説明の仕方といった改善点も挙げられました。ワークショップで使用したツールやワークのルールに戸惑われた方もいらっしゃいましたため、今後のワークショップデザインや運営で改善していきたいと思います。
お問い合わせ
教養教育高度化機構アクティブラーニング部門
dalt[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp
※[at]を@に書き換えて送信してください
2021年9月8日、東大で授業を担当されている先生方を対象に、オンラインワークショップ「オンラインでこそアクティブラーニング:アクティブで双方向的な授業のヒント」を開催しました。定員を超える方々の申込みがあり、当日は13名の方が参加されました。ここでは、当日の様子を報告します。
目的
3月に開催したオンラインワークショップでは、「オンライン授業では学生の様子がわかりにくいこと」や「学生の状態を把握しにくいこと」、「学生からの反応がないこと」、「学生との信頼構築」など、教員と学生とのコミュニケーションや双方向性の確保に関する課題が多く挙げられました。
そこで、本ワークショップでは、オンライン授業における学生の状況把握やコミュニケーションといった双方向性を保ち、授業をアクティブにするためのポイ ントや手法について理解すること、具体的な手法や研究知見を参考にしつつ、グループでのディスカッションやワークを通じて情報共有や課題解決を目指すことを目的としました。
内容
趣旨説明の後、参加者はグループ(ブレイクアウトルーム)に分かれて互いの自己紹介とワークに取り組みました。ワークでは、教員と学生とのコミュニケーションや双方向性の確保に関する3つの課題への対処法について、参加者の経験やアイデアに基づきGoogleスライドを使いながら議論しました。全体での共有の後、ミニレクチャではTPACK(Technological Pedagogical Content Knowledge)の枠組みを紹介し、テクノロジに関する知識だけでなく教育学的な知識も重要であることを確認しました。そして、ワーク2では、ジグソー法を使ってアクティブラーニングに関する教育学的な知識を学ぶことを伝え、各自が担当する資料を決めました。
休憩を挟んで後半は、ジグソー法を用いたワーク2を行いました。まず、アクティブラーニングの手法、アクティブラーニングに関連する理論や知見、授業運営のポイントの3つの資料のグループに分かれてエキスパート活動を行いました。その後、ワーク1のグループに戻ってジグソー活動を行い、ワーク1と同じ課題への対処法を検討しました。
最後に全体で議論内容を共有し、オンライン授業と対面授業との接続やワークショップ全体のふり返りを行ってワークショップを終えました。
当日の様子と参加者の反応
ワークショップでは、どのグループも活発に議論していました。参加者からは、「同じ悩みを共有しているあらゆる分野の先生方とお話しできてよかったです」や「さまざまな先生が色々ご苦労されていることを知って孤独感からは解放されました」といったコメントがあり、本ワークショップが、オンライン授業で陥りやすい教員の孤独感の解消の一助となったと思われます。
また、「自分の授業を振り返り、改善点は多々あるはずだと自覚はあったものの、想像以上に改善方法を学ぶことができました」や「授業のデザインが重要だということは初めて意識するようになりました」、「様々なテクノロジーを組み合わせればオンラインの特徴を生かしたアクティブラーニングができることがよくわかり、そのショーケースとして、このワークショップは非常に参考になりました」といった声が聞かれ、ワークショップそのものや内容が、授業デザインや授業改善、オンライン授業におけるアクティブラーニングの導入に役立った可能性が示されました。
一方で、「グループワークの時間が短く感じた」、「参加者同士の対話を長く」といった声が聞かれました。グループワークでは参加者どうしの意見交換が非常に活発で、それゆえ、時間が足りないという感想に繋がったものと思われます。また、さらに実践的な内容を望む声もいくつか聞かれました。こうしたご意見は、今後のワークショップや情報発信の検討に役立てていきたいと思います。
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教養教育高度化機構アクティブラーニング部門
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2021年3月10日、東大で授業を担当されている先生方を対象に、オンラインワークショップ「オンラインでこそアクティブラーニング:1年間のふりかえりと課題解決のヒント」を開催しました。定員を超える方々の申込みがあり、当日は17名の方が参加されました。ここでは、当日の様子を報告します。
目的
本ワークショップは、1年間のご自身の取り組みをふり返り、授業でうまくできたことや課題を思い出して共有し、さらにオンライン授業をアクティブにすることについて検討することを目的としました。また、本ワークショップを通じて、オンライン授業をアクティブにすることについてのヒントを参加者が持ち帰り、2021年度のオンライン授業への不安軽減を目指しました。
内容
趣旨説明の後、参加者はグループ(ブレイクアウトルーム)に分かれて互いに自己紹介を行いました。そして、オンライン授業の課題をグループごとに共有しました。「アクティブラーニング」や「アクティブにすること」についてのミニレクチャを挟んだ後、課題の分類と解決方法についての議論を行い、グループごとに議論の内容を発表しました。最後に、オンライン授業をアクティブにすることについてミニレクチャを行い、ワークショップを終えました。
- 開会の挨拶・趣旨説明 14:00-14:10
- 自己紹介 14:10-14:25
- ワーク(課題の共有と分類)、ミニレクチャ(アクティブにするとは?) 14:25-15:20
- 休憩 15:20-15:35
- ワーク(課題解決の議論と発表)、ミニレクチャ(課題解決のヒント) 15:35-16:25
- 閉会の挨拶 16:25-16:30
当日の様子と参加者の反応
ワークショップでは、どのグループも活発に議論していました。参加者からは、「同じ問題に悩んでいることがわかってほっとした」や「いいアイディアをもらった」といった感想が聞かれました。オンライン授業の運営は孤独になりがちです。本ワークショップでの課題共有や議論がそれを解消する一つの機会になったのであれば幸いです。
ワークショップ後にアンケートを実施しました(参加者17名のうち14名が回答)。「本ワークショップに満足されましたか」という質問に対しては全員の方が「とてもあてはまる」もしくは「ややあてはまる」のいずれかに回答されました(とてもあてはまる/ややあてはまる/あまりあてはまらない/まったくあてはまらないの選択肢から1つ選択)。また、「授業のふり返りに役立った」、「2021年度の授業準備・実施に向けて役立つものだった」、「本ワークショップへの参加を周りの教員に勧めたいか」という質問についても、全員の方が「とてもあてはまる」もしくは「ややあてはまる」のいずれかに回答されました。これらのことから、本ワークショップの目的はある程度達成されたと考えられます。
一方で、「2021年度の授業をアクティブにすることができそうか」、「不安が軽減されたか」という質問に対しては「あまりあてはまらない」という回答がありました。併せて、教員の実践状況にあわせたワークショップ(たとえば初級編や上級編など)や、手法の実践方法や事例といった、より個別テーマを深めるワークショップのご要望もありました。こうした結果を踏まえ、今後は、授業をアクティブにすることに寄与し、授業への不安軽減につながるワークショップを企画していきたいと考えています。
また、運営という観点では、グループワークにおける作業手順や時間の伝達といった点において不備がありました。ワークショップ中に改善できる点は改善しましたが、改めてオンラインでのワークショップ運営の困難さを痛感しました。今後のオンラインワークショップの運営に活かしたいと思います。
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