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TSCPでは東京都環境確保条例を排出枠購入によらずに削減を達成することを目標としています。
対策を早期に実施する方が、東京都環境確保条例が求める平均の削減量に寄与が大きくなることから、TSCPではソフト面での対策を初期段階で徹底するとともに、各部局からTSCP促進費として光熱水費用の一部を上乗せ徴収して、各局のハード面でのエネルギー消費量削減対策に対する初期費用の一部に充当する仕組みを作ってハード面の対策の前倒しを促進しました。
ハード面の対策は実施する前にその有効性を検討する必要がありますが、大学においては異なる部屋であっても照明系は照明系でまとめるなどして配線が複雑になっているので、実際にそれぞれの部屋や機器がどの程度のエネルギーを消費しているのかを把握するのはとても困難です。
そのため、季節や時間帯に寄るエネルギー消費量の差からそれぞれの用途における消費量を推測することになります。大まかに言えば実験系3割、空調3割、照明2割、その他2割のエネルギーを消費しています。
このため全体の7割を占める非実験系での削減方法は一般にも応用可能ということができます。
上で述べたような計測の難しさをふまえてTSCPでは主に2つの異なるアプローチでハード面の対策を行っています。
1つは主に大型の機器を含む、多くのエネルギーを消費するシステムに対して短期計測でエネルギーの消費量をモニターして、より最適なシステムを構築して運用改善するという方法です。
もともと2台の熱源設備で運用していたシステムに対して、新館を設置したことに伴って1台増加で設置していたのですが、短期計測の結果2台の熱源設備を用いて熱を旧館と新館の間で融通させれば十分ということが分かり、最適化した結果冷房期間で約70tonのCO2の削減に成功した大型熱源設備の運用改善がこの方法を用いた例としてあげられます。
もう1つは台数が多いものなど、短期計測が困難なものに対して、ベンチマークを設定する方法です。
この方法は例えば個別の部屋の熱源設備(つまりエアコンなど)に対して適用されています。
一般にエアコンは定格能力に近い負荷で運用するほど成績係数が上昇する傾向があるので、部屋の広さに対して定格能力が大きすぎるエアコンはエネルギーをより多く消費してしまいがちです。
このため全ての部屋の熱源設備の実態調査を行って、その結果に基づいて床面積あたりの機器容量原単位に対して上限を設定し、高効率機器への更新による効率向上分をさらに増加させるようにしました。
以上のようなハード面の対策の他に、全部局から教職員を1名ずつTSCP-officerとして選任して意識啓発活動の推進役としたり、全建物に共通して対策可能な空調の設定温度や共用部分の照明の間引きなどを依頼したり、意識啓発用のポスターのアイデアを学生に募集したりなどといったソフト面での対策も進めています。
以上のようなソフト、ハードの対策等の結果、TCSP2012の目標である、非実験系のCO2排出量15%削減は達成される見込みだということです。
磯部先生は今後の取り組みの展望についても具体的に、その障壁なども含めてお話しくださいました。
個人的には、ハード面の対策をする前に実態調査や短期計測をするということが実は大変ということが予習のときには見えなかった部分で大変興味深いと思いました。
磯部先生本当にありがとうございました。
(文責:青木)