ワークショップ 第5回東大生がつくるSDGsの授業(2025年3月23日)開催報告

2025年3月23日(日)に開催したワークショップ「東大生がつくるSDGsの授業」について、当日の模様を簡略ながらご報告します。

概要

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構EX部門では、高校生を対象としたSDGsに関するワークショップを2020年度より開催しております。2024年度Aセメスターに東京大学教養学部で全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」を開講しました。本ワークショップでは、この授業において特に優れた授業案を設計した学生が授業を実施しました。2020年度より毎年開催しており、5回目の開催となりました。これまでのワークショップはオンライン(Zoom)での開催でしたが、今回初めて対面での開催となりました。

プログラム

対面での開催であったため、駒場キャンパスの見学を含めたプログラムを実施しました。

13:00-13:30 駒場キャンパスツアー 
13:30-14:00 趣旨説明(中澤明子 東京大学大学院総合文化研究科 特任准教授) 
14:00-14:50 授業「さまざまな立場で考えるSDGs」(中山昊 教養学部1年) 
14:50-15:00 休憩
15:00-15:40 ミニレクチャ(中村長史 東京大学大学院総合文化研究科 特任講師) 
15:40-16:00 まとめ(中村長史) 

授業の内容

授業「さまざまな立場で考えるSDGs」は、高校生に「視野を広げてほしい」、「SDGsを身近に感じてほしい」という想いのもとで設計された授業でした。SDGsのうち目標13, 14, 15について学ぶこと、さまざまな観点でものごとを考えることが授業の目的でした。授業はジグソー法を援用した形で進められました。参加者には目標13の概要と事例(自治体、学校の取り組み)、目標14の概要と事例(自治体、学校の取り組み)、目標15の概要と事例(自治体、学校の取り組み)が書かれた3種類の資料のうち、いずれかが配布されました。

まず参加者は、同じ資料(目標が同じ)を持つ人たちどうしでグループになり、「行政:地域社会に住む人々をどのようにして巻き込むか」、「学校:他の学校でも実現可能か」という問いを意識して資料を読み、資料の内容で書かれていなかったことやわからなかったことをグループで確認しました。また、資料の目標に対して自分の学校や自治体で行われている取り組み・経験を共有しました。

その後、異なる資料(目標が異なる)を持つ人たちどうしでグループになり、自分が読んだ資料の事例を参考にしながら、「地域でできる自然の豊かさを守っていくための取り組み」について議論しました。議論した内容をグループごとに発表してもらった後、授業のまとめを行って終了となりました。

ミニレクチャ

全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」の担当教員の一人である、中村長史特任講師よりSDGsに関する模擬授業がありました。実際の授業でも扱ったSDGsの目標間の関係などについて講義がありました。

授業を行った学生の声

授業を行った学生に、授業を実施した感想を聞きました。

授業を行うのは初めてだったので緊張しましたが、皆熱心にワークに取り組んでくれて、授業を形にすることができたので、ほっとしました。もちろん、授業をコミュニケーションとして進めていくこと表情や様子を見ながら時間を調整して進めていくことの難しさも感じ、反省点もありました。一方で、今回はジグソー法という方法を取り入れて経験についても話してもらったのですが、様々なバックグラウンドの高校生に参加してもらえたので、「さまざまな立場で物事を考えられるようになる」という授業の目的は達成できたように感じます。ワークでは、僕も考えていなかったような素晴らしいアイデアや重要なポイントを考えて発表してくれたので、僕自身も色々と学びを得ることができました。今回の授業での学びを活かしてSDGs等について僕自身も考え続けたいですし、参加してくれた方にはこれからも関心をもってもらえればうれしいです。

お問い合わせ

教養教育高度化機構 EX部門 dalt[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp

[Call for Participants] The 5th Workshop: Class of SDGs Designed by UTokyo Students

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構EX部門では、高校生を対象としたSDGsに関するワークショップを2020年度より開催しております。東京大学教養学部で開講している全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」において特に優れた授業案を設計した学生が授業を実施いたします。SDGsの理解が深まるような工夫が施された授業ですので、是非ご参加ください。 

※チラシのPDFはこちら

日時

2025年3月23日(日)13:00-16:00

場所

東京大学駒場Iキャンパス 17号館2階KALS(駒場アクティブラーニングスタジオ)
駒場Iキャンパスへのアクセス・キャンパスマップ:https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/about/visitors/maps-directions/index.html
※赤門がある本郷キャンパスでの開催ではございませんのでご注意ください。

対象・定員

高校生(定員30名)
※定員を超える応募があった場合は、抽選となります。

参加費

無料

プログラム

12:30開場 ※12:50までに会場にお越しください。
13:00-13:30 駒場キャンパスツアー 
13:30-14:00 趣旨説明(中澤明子 東京大学大学院総合文化研究科 特任准教授) 
14:00-14:50 授業「さまざまな立場で考えるSDGs」(中山昊 教養学部1年) 
14:50-15:00 休憩
15:00-15:40 ミニレクチャ(中村長史 東京大学大学院総合文化研究科 特任講師) 
15:40-16:00 まとめ(中村長史) 

お申込み

以下のフォームより必要事項をご記入の上、ご登録ください。
https://forms.gle/PBTHge6gGfFaNn5e7

申込締切

2025年3月16日(日)23:59 3月20日(木)23:59 ※締切延長しました!

連絡・注意事項

  • 部門ウェブサイトや刊行物などでの活動報告のためワークショップの様子を撮影いたします。参加者の表情等がわからないように撮影・使用いたしますのでご了承いただければと思います。
  • ワークショップや教材の評価・改善、事業内容・成果の学内外・学会等での報告のためアンケート調査を実施いたしますのでご協力いただけますと幸いです。
  • ワークショップにご参加される方による録音・録画はお控えくださいますよう、よろしくお願いいたします。

お問い合わせ

教養教育高度化機構 EX部門アクティブラーニングチーム(担当:中澤・中村)
dalt[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp ※[at]を@に書き換えて送信してください

主催

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構 EX部門

ワークショップ「第4回東大生がつくるSDGsの授業」(2023年9月3日)開催報告

カテゴリー: SDGs-classes, event

先日開催しました下記のワークショップに関して、当日の模様を簡略ながらご報告します。 チラシPDF 日時:2023年9月3日(日)14時~17時 場所:オンライン 参加者数:6名

1.概要

東京大学総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構EX部門では、2023年度Sセメスターに全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」を開講しました。本イベントは、その授業の中で特に優れた授業案を設計した学生が、高校生を対象とした授業を実施するものです。2020年度より毎年開催しており、4回目の開催となりました。オンライン(Zoom)での開催でしたが、講師の学生は可能な限り双方向性を保てるような授業案を設計してイベントに臨みました。

2.プログラム

14:00~14:30 趣旨説明:中村長史(東京大学大学院総合文化研究科 特任講師) 14:30~15:20 授業「SDGs in Japan~企業にできることはなんだろう~」:平野沙也加(東京大学教養学部2年) 15:20~15:40 休憩 15:40~16:30 授業「SDGsマスターへの道~”達成”に向けてできることを考えてみよう~」:大石菜月(東京大学教養学部1年) 16:30~17:00 まとめ:中澤明子(東京大学大学院総合文化研究科 特任准教授)

3.授業の内容

「SDGs in Japan〜企業にできることはなんだろう〜」は、SDGs達成に向けた企業の取り組みについて考えることを中心に据えた授業でした。まず、参加者はクイズや概説を通じて日本のSDGs達成状況を確認した後、具体例を交えながら日本企業の取り組みやSDGsウォッシュ問題について学びました。続いて、自身が企業の一社員となったことを想定し、「製造業」と「小売業」の2グループに分かれて、SDGsの目標12〜15にアプローチできる取り組みを考えるグループワークを行いました。 「SDGsマスターへの道〜“達成”に向けてできることを考えてみよう〜」は、SDGsの“達成”をひとつの側面として取り上げた授業でした。授業内では、①SDGs“達成”について自分の言葉で説明できる、②“達成”に向けて自分たちにできることを考える、という2つの目標を達成するべく、講師からの講義の後、参加者がそれぞれ考えた“達成”に近付くために、グループで自分たちにできることを話し合い、それを全体で共有しました。

4.授業を行った学生の声

授業を行った2人の学生に、参加者の反応はどのようなものであったか、そして授業を実施した感想を聞いてみました。 一から授業を組み立て、さらに実践するというのは初めての経験で、準備段階から本番に至るまで様々な失敗や苦労もありましたが、無事に授業を完成させることができて嬉しく思います。参加人数はあまり多くはなかったものの、その分、グループワークやアイディア共有が積極的に行われた印象があり、参加者同士が密に交流することができるワークショップになったのではないかと思います。私自身、「このトークテーマは難しすぎるかも…」「まとまりのある話し合いができるかな」など不安を抱えつつのワークショップだったのですが、いざ蓋を開けてみると、参加者の皆さんが高い意欲と発想力でたくさんの魅力的なアイディアを出してくださって安心しました。この授業を通じて、SDGsへの関心を高め、自分もSDGs達成に貢献できる社会の一員なんだ!という自覚を持っていただけていたら幸いです。(平野沙也加) 「授業はひとつのストーリー!」。Sセメスターに開講された、全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」を受講した際に私が学んだことの一つです。授業準備では、このストーリーをつくるということに最も頭を悩ませました。講師としての自分の頭の中では授業の自然な流れができているつもりでも、参加者の目線で授業を見直すと、飛躍があって分かりづらい。授業内で伝えたい知識や技能だけでなく、それらをいかにストーリーとして構成するか、ということも、授業には必要不可欠なことだと気付きました。ストーリーをつくるなかで、「このワークでは参加者はどんな意見を出すだろう?」と想定する必要がある場面もありました。いくつか想定していたのですが、実際に授業内で参加者同士のグループワークを覗いてみると、私が想定していた答えを遥かに超える質と量の意見がたくさん出ていて、私自身も大変勉強になりました。講師としても学習者としても、貴重な学びの機会を得ることができ、非常に嬉しく思います。(大石菜月)

お問合せ先

教養教育高度化機構 EX部門 dalt[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp

ワークショップ「第4回 東大生がつくるSDGsの授業」(2023年9月3日)開催

カテゴリー: SDGs-classes, event

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構アクティブラーニング部門では、高校生を対象としたSDGsに関するワークショップを2020年度より開催しております。東京大学教養学部で開講している全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」において特に優れた授業案を設計した学生が授業を実施いたします。SDGsの理解が深まるような工夫が施された授業ですので、是非ご参加ください。 チラシPDF

1.日時

2023年9月3日(日)14時~17時

2.場所

ZOOM (URLはお申し込み者にお伝えします) ※授業ではペアワークやグループワークの場面が多くあります。可能な限りカメラをオンにして参加していただければ幸いです。 ※参加者のプライバシーへの配慮の観点から、録音・録画は一切お控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

3.対象者

高校生 [定員40名]

4.参加費

無料

5.プログラム

14:00~14:30 趣旨説明:中村長史(東京大学大学院総合文化研究科 特任講師) 14:30~15:20 授業「SDGs in Japan~企業にできることはなんだろう~」:平野沙也加(東京大学教養学部2年) 15:20~15:40 休憩 15:40~16:30 授業「SDGsマスターへの道~”達成”に向けてできることを考えてみよう~」:大石菜月(東京大学教養学部1年) 16:30~17:00 まとめ:中澤明子(東京大学大学院総合文化研究科 特任准教授)

6.お申し込み

以下の申込フォームよりお申込ください。 https://forms.gle/dUkx5vL8Y4gReyfK7 主催:東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構 EX部門 dalt[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp

SGDsを学べる授業をつくろう(2022年度Sセメスター)

カテゴリー: SDGs-classes

全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」(2022年度Sセメスター)の授業の様子を紹介します。受講者は、受講生は7名(2年生2名、3年生3名、4年生2名)でした。 担当教員:中澤明子・中村長史(総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構)

概要

持続可能な開発目標(SDGs)は、ミレニアム開発目標(MDGs)の後継として2015年の国連総会で採択され、17の目標が定められています。MDGsが途上国の貧困削減や社会開発に焦点を当てていたのに対し、SDGsは世界中の国々の経済・社会・環境といったより広い問題を扱うものです。その広さゆえ総花的であるという批判もある一方、多くのアクターを巻き込めるという利点も指摘されています。 この授業では、このようなSDGsについて高校生が効果的に学べるオンライン授業を設計してみることで、SDGsについての自分自身の学びを深めることを目指します。

授業の目的・目標

この授業の目的は、SDGsについて高校生が効果的に学べるオンライン授業を設計してみることで、SDGsについての自分自身の学びを深めることでした。他者に教えることそのものや、オンライン授業を設計する過程での調査や議論は、本人にとって最も身につく学びとなります。また、この授業では「効果的に学べる」ためにアクティブラーニングという手法を用いたオンライン授業を設計することを目指しました。 授業の目標は、以下の6点でした。
  1. SDGsが作成された背景について説明することができる
  2. SDGsの意義について説明することができる
  3. SDGsの課題について説明することができる
  4. SDGsの17の目標について説明することができる
  5. 学習者の学びを深める授業の方法について説明できる
  6. SDGsについて学習者の学びを深める50分間のオンライン授業を設計することができる

授業の流れ

本授業は、大きく二つの内容から構成されています。

第1部:SDGsを学ぶ

第2回〜第4回の授業は、SDGs概説として、SDGsに関する講義と議論を行いました。 第2回授業では、SDGsの全体像を把握することを目的としました。まずSDGsの各目標とターゲットを確認しました。その後、各目標やターゲットの関係(結びつきの強弱)と理由を考えて個人で書き出し、それをグループで共有して関係性を話し合って示しました。さらに、関係性を参考にしながらSDGsの意義と課題について議論し、内容をクラス全体で共有しました。 第3回授業では、SDGsの17の目標間の関係を再考することを目的としました。17(も)の目標か定められた経緯を踏まえた上で、17の目標間にどのような関係性があるのかを複数の観点から示した図を引用しつつ、説明しました。また、17の目標間にシナジーやトレードオフがあるかどうかをグループで考えました。 第4回授業では、SDGsの特定の目標について理解することを目的に、目標1(貧困をなくそう)と目標10(人や国の不平等をなくそう)に焦点を当てました。貧困や不平等の現状をデータで確認した後、そうした事態を招いている原因や、対策としての開発援助のありかたについてグループで議論しました。  

第2部:SDGsを教える

第5回以降の授業では、高校生がSDGsについて学べる授業をつくりました。 第5回・第6回授業は、授業設計概説として、授業設計の理論や手順を説明しました。第5回では、授業づくりに必要な知識を確認した後、授業設計の手順の概要を説明しました。その後、ジグソー法を用いて授業設計手順の詳細を相互説明し、練習として「食堂の使い方を理解する授業」を考えました。第6回授業では、教え方に焦点を当て、学習意欲を高める方法やアクティブラーニングの技法について説明とディスカッションを行いました。 第7回・第8回授業からは、授業のデザインをグループごとに開始しました。授業づくりのワークシートに沿って、「高校生40名が、SDGsについて学べる50分間のオンライン授業」の授業案を考えました。 第9回の中間発表では、グループごとに作成した授業案を発表しました。また発表した内容に対して、「よりよい授業にするには」という観点から相互評価を行い、互いにコメントしました。中間発表後は、相互評価に基づきグループごとに改善点の確認と議論を行いました。 第10回・第11回では、中間発表に基づいた授業案の修正と、講義スライドづくりを行いました。最終発表では、最終的な授業案に加えて、50分間の授業を行う時に使う講義スライドや教材を発表します。そのため、授業案で考えた授業の流れや講義・活動を、講義スライドという形で具体化しました。 第12回では、最終発表を行いました。グループごとに最終的な授業案と講義スライドを提示して発表し相互評価しました。実際の授業は50分間ですが、最終発表では10分間で講義スライドを提示しながら受講生が授業の概要を発表しました。発表後には「よりよい授業にするには」という観点から相互評価を行いました。 第13回の授業では、授業のふり返りを行いました。前半は最終発表に対する相互評価の結果をグループごとに確認し最終発表について良かった点・改善点を話し合いました。授業の後半では、この授業の学習目標である、SDGsの背景・意義・課題についてグループに分かれて考えを整理しました。どのグループも授業全体を踏まえて議論・整理していました。その後、13回の授業を通した一人ひとりの学びを振り返る時間を設けました。具体的には、大福帳を開いて過去の自分の疑問などを確認しながら、授業を通じて何ができるようになったのかを学生一人ひとりが考え、その内容をペアで共有して授業を終えました。  

受講者の感想

第1回授業からの変化

第1回授業と第13回授業終了時とで、SDGsに対する考えや関心の変化、気付きがあったかどうかを尋ねたところ(回答者5名)、次の感想がありました(一部抜粋)。
  • SDGsを所与のものや最終ゴールとしてではなく、世界中の課題を解決するための通過点、今後時代に合わせて別の目標や方法に改善されうるものとして捉えるようになった。
  • SDGsのそれぞれの目標には関連性があることがわかった。
  • 授業前は、SDGsに対して「何となく良いもの」という印象を持っていたが、もちろん意義はある一方で、さまざまな課題点も孕むものであるということに気付かされた。
  • 少なくとも自分が発表で扱った目標に対する理解は深まり、SDGsに関する知識も初回よりは格段に身についたと思います。
  • ただの理想論だと思っていたが、政治的妥協やステークホルダーなどの具体的数値目標や活動などの地に足のついた活動であることが分かった。ただSDGsと口にしたり知識としてもつだけではなく、やはり自分も活動しないとなと感じた。
学生たちなりに、SDGsに対する考えに変化があり、また学習目標である意義と課題についての理解が深まったようです。

SDGsの理解に対する授業づくりの影響

授業づくりがSDGsへの理解を深めることに対して役立ったかどうかを聞いたところ次の感想が得られました。
  • 教えるためには自分が理解していなければならず、授業づくりの中で概論や具体例に触れ、SDGsへの理解が深まった。
  • 自分で理解していることを前提として授業を設計しなければならなかったので、自分でSDGsを理解することとSDGsに関する授業設計を行うことは全くの別作業であると思った。実際に自分の頭の中で体系的にSDGsのそれぞれの目標を整理できる授業設計演習はSDGsへの理解を深めることに大変役立った。
  • 50分の授業1つを設計するという特性上、扱えたのは1つの目標のみだった。そのため、授業で取り上げた目標に対する理解は深まったといえるが、SDGs全体の理解に寄与していたか、と言われると少し微妙な印象を受けた。ただ、時間的制約がある中では仕方のないことだと思うし、全体としてはとても有意義な時間だったと感じている。
  • 誰かに教えるためにはまずSDGsに関する知識を身につけ、生徒にも分かりやすいよう身につけた知識を噛み砕く必要があると感じ、実践しようと試みた。その結果、自分自身のSDGsへの理解も深まったと思う。
  • 授業内で使う具体例を調べる過程でより詳細な情報や周辺情報、自分がターゲットにした目標以外の目標との関係を知ることになった。さらに、分かりやすい授業にしようという中で、SDGsに関する知識が自分の中で一度整理されたこともよかったと思いました。
授業をつくる過程で、自分で調査をすることにより、SDGsに関する情報を得て理解を深めたという記述がありました。一方で、50分の授業をつくったため、授業の中で扱える量に限りがあり、SDGs全体の理解というよりは授業で取り上げた目標への理解が深まったという意見がありました。たしかに、50分の授業では扱える量が少ないため、設定する学習目標によっては一つの内容を深く掘り下げるにとどまってしまうかもしれません。この授業では、SDGsが作成された背景や意義と課題について説明できることが学習目標に含まれています。これらの学習目標と50分の授業づくりとの関連や、授業づくりの焦点の明確化には検討の余地があるかもしれません。 この授業の成果報告として「第3回 東大生がつくるSDGsの授業」を2022年9月に開催しました。1名の受講生がオンラインで実際に高校生に授業を行いました。開催報告はこちらからご覧いただけます。
 

問い合わせ先

教養教育高度化機構 アクティブラーニング部門(担当:中澤明子・中村長史) dalt[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp