08/03/17 | 国際シンポジウム開催の報告 3月17日に東京大学現代GP 国際シンポジウム「ICTを活用したアクティブラーニング」を開催しました。約200名の方々にご来場いただきました。 [開催報告] |
08/03/31 | 平成19年度の現代GP成果報告書作成 平成19年度の現代GP成果報告書を作成しました。 成果報告書 |
10/01/12 | 現代GP 国際シンポジウム2008の報告書 2008年3月17日にシンポジウム2009「ICTを活用したアクティブラーニング~アクティブラーニングの活性化が可能な教育環境とは~」を開催し、その講演録をまとめた報告書です。 「ICTを活用したアクティブラーニング」報告書 |
10/01/12 | シンポジウム2008 映像配信 シンポジウム2008の映像配信を開始いたしました。 東大.TV 東京大学現代GP 国際シンポジウム 2008 |
教養学部、情報学環、大学総合研究センターは、文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)の取組みの一つして、2008年3月17日 (月)に本学駒場キャンパス18号館ホールにて、国際シンポジウム「ICTを活用したアクティブラーニング」を開催しました。
現代GPでは、ICTを活用したアクティブラーニングによる新たな教養教育の授業モデルを構築しています。
今回のシンポジウムは、どのような教育環境(特にICT(Information and Communication Technology)技術の利用によって実現される)によって、学生の能動的な学習(アクティブラーニング)を活性化することができるのかが議論されました。
まず、事例報告として、Peter Dourmashkin氏はマサチューセッツ工科大学の学部学生向けの物理の教育のための教室であるTEAL (Technology Enabled Active Learning)を紹介しながら、一斉講義とアクティブラーニングの質的な違いを語っていただきました。Daniel Gilbert氏はスタンフォード大学の Wallenberg Hallを紹介し、学生が集まり議論する場の重要性を指摘されました。そして美馬のゆり氏は公立はこだて未来大学の事例とともに江戸時代以来続く日本の文化について紹介し、その国の文化に特化した学習環境をデザインしていく必要性を説かれました。
続いて、東京大学の事例が報告されました。まず教養教育開発機構のTom Gally氏がKALS(駒場アクティブラーニングスタジオ)で行っているCritical Writing Programの実践について報告し、大学院情報学環の山内祐平氏が本郷キャンパス赤門横に完成した情報学環・福武ホールの学習空間について解説しました。最後に、アクティブラーニングを支援するためのソフトウェアとしてマイクロソフト先進教育環境寄付研究部門で開発されたMEET Video ExplorerとeJournal Plusについて大学総合研究センターの望月俊男氏が紹介しました。
その後、総合文化研究科の永田敬氏の司会のもとでパネルディスカッションが行われました。始めに「アクティブラーニングにおいてICTは必要なのか?」という問に対して、ICTが先に来るのではなく、教育を改善したいという思いが先にあるべきもので、ICTは手段の一つであるというような議論がされました。次に「FD(ファカルティ・デベロップメント) をどのようにすべきか?」という問に対して、FDというような受け身のものではなく、先生が教育について話し合う機会(フォーマルなものだけでなくインフォーマルなものも含めて)を作る工夫が大切であるというような議論がされました。
本シンポジウムには183名の参加がありほぼ満席でした。質疑も活発に行われ、パネルディスカッションでの議題を募集したところ、議論しきれないほどの議題が集まり、関心の高さが感じられました。また、シンポジウム後のKALSの見学会のeJournal PlusやPRS(Personal Response System)のデモにも多数の参加がありました。
講演の映像は、東大TVにて配信予定です。現代GPでは2008年夏に、サマーインスティテュートをKALSにて開催予定です。最後に、シンポジウムに参加された方および準備にご協力いただいた方々に感謝いたします。
東京大学現代GP 国際シンポジウム
「ICTを活用したアクティブラーニング:ICT enabled Active Learning」
主催:東京大学 教養学部、情報学環、大学総合教育研究センター
共催:東京大学 教養教育開発機構
後援:東京大学 教育企画室 TREEプロジェクト
東京大学 教養教育開発機構 教養教育社会連携(ベネッセコーポレーション)寄付研究部門
日時:2008年3月17日(月)13:00-19:00(18:15~はKALS見学会)
場所:東京大学駒場キャンパス18号館ホール
東京都目黒区駒場3-8-1
京王井の頭線「駒場東大前」下車徒歩5分
・参加無料
・事前登録制(残席があれば当日参加も可能です)
・日英同時通訳あり
多数のご応募ありがとうございました。
183名の方からご参加いただき無事に終了いたしました。
なお、シンポジウムの様子は東大TVにて公開する予定です。<東大TV>
12:30~ | 受付開始 |
13:00~ | <挨拶> |
東京大学教養学部 学部長 小島憲道 | |
<趣旨説明> | |
東京大学大学院 総合文化研究科/教養学部附属教養教育開発機構 教授 永田敬 | |
13:20~ | TEAL(Technology Enable Active Learning)プロジェクト |
MIT, Department of Physics, Senior Lecturer, Peter Dourmashkin | |
14:10~ | SCIL (Stanford Center for Innovations in Learning) とWallenberg Hall |
Stanford University, Academic Technology Specialist, Daniel Gilbert | |
15:00~ | <休憩> |
15:10~ | 公立はこだて未来大学の取組み |
公立はこだて未来大学システム情報科学部 教授 美馬のゆり | |
16:00~ | KALSでのCritical Writing Program |
東京大学教養学部附属教養教育開発機構 特任准教授 Tom Gally | |
16:30~ | 東京大学大学院 情報学環 福武ホールのデザイン |
東京大学大学院情報学環 准教授 山内 祐平 | |
16:40~ | TabletPCを活用するeJournalPlus, MEET Video Explorer |
東京大学大学総合教育研究センター マイクロソフト先進教育環境寄附研究部門(MEET) 客員准教授 望月 俊男 | |
16:50~ | <休憩> |
17:00~ | パネルディスカッション |
18:15~ | KALS(駒場アクティブラーニングスタジオ)見学会 |
*シンポジウムは18:00頃に終了します。見学会は17号館2階への移動となります。ご参加は任意です。 |
09/03/31 | 平成20年度の現代GP成果報告書作成 平成20年度の現代GP成果報告書を作成しました。 成果報告書 |
09/02/17 | 現代GP シンポジウム 2009 開催の報告 2009年2月20日(金)に東京大学現代GP シンポジウム 2009 「アクティブラーニングのための学習空間を創る」を開催いたしました。開催報告 |
08/09/18 | 現代GP KALSサマーキャンプ開催の報告 9月16日(火)に東京大学現代GP KALS サマーキャンプ2008を実施しました。23名の方々にご来場いただきました。 [開催報告] 発表資料 趣旨説明 [PDF:2661KB] 栗原一貴資料 [PDF:2167KB] 佐藤弘毅資料 [PDF:1065KB] 益川弘如資料 [PDF:11983KB] |
08/07/16 | Rob Reilly氏講演会の報告 7月12日(土)にRob Reilly氏を迎えて講演会を実施しました。約20名の方々にご来場いただきました。発表資料 [PDF:962KB] |
08/07/03 | 7月12日(土)16:00-17:30 Rob Reilly氏講演会開催のお知らせ 米国・IEEE(米国・電気電子学会) Education SocietyのChairを勤めているRob Reilly氏が訪日されます。本取組として、大学教育におけるICT活用の教育方法について講演会と意見交換を行います。主催:東京大学教養学部附属教養教育開発機構 日時:2008年7月12日(土) 16:00-17:30 (講演60分,質疑30分) 場所:東京大学 駒場Ⅰキャンパス 17号館2階 KALS 地図 講演者:Rob Reilly氏 講演内容:大学教育におけるICTを活用した教育方法 使用言語:英語 参加方法:参加費無料、申込不要 Rob Reilly氏は、IEEE(米国・電気電子学会) Education SocietyのChairとして活躍している。University of Massachusetts, Amherstで教育工学の学位を取得後、University of Massachusetts, Amherst, University of Memphis, MIT Media Labでaffective/cognitive learning theoryについて研究と実践を行ってきた。 チラシ[PDF:1188KB] |
08/06/25 | 平成20年度第1回現代GP外部評価委員会開催 本日、平成20年度第1回現代GP外部評価委員会を開催しました。今後の取り組みの方向性、評価の方法、成果のまとめ方などについてご意見、ご助言をいただきました。 |
10/01/12 | 現代GP シンポジウム2009の報告書 2009年2月20日にシンポジウム2009「アクティブラーニングのための学習空間を創る」を開催し、その講演録をまとめた報告書です。 「アクティブラーニングのための学習空間を創る」報告書 |
10/01/12 | シンポジウム2009 映像配信 シンポジウム2009の映像配信を開始いたしました。 東大.TV 東京大学現代GP シンポジウム 2009 |
学生の能動性を発揮させる授業ーアクティブラーニングーを支えるために大学の学習環境はいかにあるべきでしょうか。
このシンポジウムでは、学校建築、ワークプレイスデザインの専門家から「人がよりよく活動するための空間」について、最新の事例をご紹介いただき、理想の学習空間のデザインについてディスカッションします。
教養学部、情報学環、大学総合研究センターは、文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)の取組みの一つして、2009年2月20日 (金)に本学駒場キャンパス18号館ホールにて、現代GPシンポジウム2009「アクティブラーニングのための学習空間を創る」を開催しました。
今回のシンポジウムでは、近年、大学の教育改革のキーワードの1つとなっているアクティブラーニングについて、その授業や学習活動を支えるための空間デザインの在り方をテーマに取り上げました。学校建築とワークプレイスデザインの分野から講演者を招き、人がよりよく活動するための空間を創ることに関して最新の事例をご紹介いただきました。
また、本学の取組についても報告し、講演者と共に、大学教育の中でアクティブラーニングを推進するために、学習環境デザインの観点から、どのような学習空間を創るべきかについてパネルディスカッションを行いました。大学、企業などから87名の参加がありました。
はじめに教養学部長の山影進氏より、東京大学は小宮山総長のもとで、理想の教養教育を目指して、教養教育を重点的な課題として全学で取り組んでいると話されました。具体的には、2年後をめどにして、理想の教育棟という建物を建設して、施設的にも、プログラム的にも充実する取組をしてきているとご挨拶がありました。
次に、教養学部附属教養教育開発機構教授の永田敬氏より、本シンポジウムの趣旨を説明をされました。ICTを活用した教育をすると、時間や空間を超えて、情報の共有・取得・解析をすることが可能になり、ICTを活用した教育では、教室という空間がだんだん薄れていくのではないかと感じます。しかし、実際に教育活動をしていきますと、実は空間が大事になると気がつき、違う意味で空間が見直されるべきでということに気がつきました。
今回のシンポジウムの趣旨は、学習空間として何を用意する必要があるのか、それによって教育にどんな効果があるのかをディスカッションし、大学での学習空間のあり方を考えてみることです。
本学の取組として、大学院情報学環の准教授である山内祐平氏より、東京大学での学習環境デザインについて、試行的な取組事例として、「駒場アクティブラーニングスタジオ」と「情報学環・福武ホール」の2つを紹介いただきました。はじめに、大学の変化と学習空間について、知識伝達の場から知識創発の場へと変化しており、課題を発見できる人材の育成が求められています。そのため、思考や表現など高次な能力が重視されている観点からアクティブラーニングという学習が求められ、そのための学習空間の必要性が求められているとお話がありました。東京大学の100年前の教室の写真を提示して、教室は100年間変化しておらず、ここ10年くらいで教室の変化が起きており、東京大学でも駒場アクティブラーニングスタジオや情報学環・福武ホールがデザインされています。
工藤和美氏からは、「外の教室/教室の外」というタイトルでご講演がありました。
はじめに、千葉県千葉市立打瀬小学校を建築することが、学校建築に携わることになったきっかけなったとお話をされました。打瀬小学校での建築設計を通して、Activity、Furniture、Open Airが大切だと気づいたとのことでした。その後は、「なぜ教室を豊かにするか?」ではなくて、「どれだけ豊かな学習ができる器にするのか」が大切だと考え、近年建築設計を手がけて学校を紹介されました。例えば、福岡市立博多小学校での「表現の舞台」や「ガラス張りの校長室」、福井県坂井市立丸岡南中学校の教科センター方式による教室について紹介されました。教える側の変化と学ぶ側の変化について、職員室の無い小学校のその後や教室のない学校のその後について、写真や経験を交えてお話しされました。
最後に、これまで、学校の設計をする中で、いろいろな教室を考えて来ました。でも、何々教室といった名称で呼ばれていない、議論の対象にならない場所が学校にとって大切な場所だということに気づかされました。教室の外を考える事が、まさに学習空間を考えることになっているとお話しされました。
岸本章弘氏からは、オフィスの設計の立場から「触発するワークプレイス」というタイトルでご講演がありました。はじめに、ワークプレイスを取り巻く環境として、業務の仕組み、組織構造、雇用形態、ワークスタイル、情報通信技術などが大きく変化していると社会背景をご説明されました。その変化に伴い、流動化する組織や多様化するワークスタイルにより、分散する人と仕事となり、人と空間の関係に時間と空間を共有する機会が減少する変化が起こりました。仕事内容がナレッジワークへと移行していき、分業型ソロワークから協働型グループワークへと移り変っていきました。それらの変化がもたらす影響として、オンサイトからオンラインまで人と人とのコミュニケーションが変容していき、伝統的なメディアとして機能が相対的に低下していき、人と空間の相互作用の変容していき、情報処理や協働作業に焦点が移り、オフィス内活動が多様化していきました。
まとめとして、触発するワークプレイスへの期待として、組織的な情報処理工場から、自律分散型の協働を支援する場所へと高度化するオフィスの役割が求められていることや、「オンライン」への拡張と、「オンサイト」との新たなバランスへとコミュニケーションチャネルの再編が必要なこと、オフィス空間が活動を触発し、メッセージを伝える場へと刺激し触発する環境となっていくことをあげられました。
その後、山内祐平氏のコーディネートのもとでパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、総合文化研究科の永田敬氏と東京大学学部評価員で、駒場キャンパスの計画に携わっている筑紫一夫氏にご参加いただいた。
始めにご講演者の工藤和美氏と岸本章弘氏に「大学の学習空間をデザインできるなら、どんなことがしたいですか?」という問に対して、お話いただきました。次に筑紫一夫氏に「これまでのご経験を通して、駒場キャンパスの設計で意図されてきたことは、どんなことですか?」という問に対して、駒場キャンパスでは既に建物が建っているなかでの建築計画をすることの難しさについてお話されました。永田敬氏に、「教養教育に望まれる、教育環境、学習環境とは何か?」に対して、前期課程の学生に、キャンパス内に多くの時間を過ごして欲しいとお話をされました。
本シンポジウムには87名の参加がありました。質疑も活発に行われ、パネルディスカッションでの議題を募集したところ、議論しきれないほどの議題が集まり、関心の高さが感じられました。
講演の映像は、東大TVにて配信予定です。現代GPでは2009年夏に、サマーインスティテュートをKALSにて開催予定です。最後に、シンポジウムに参加された方および準備にご協力いただいた方々に感謝いたします。
文部科学省現代GP採択取組である「ICTを活用した新たな教養教育の実現-アクティブラーニングの深化による国際標準の授業モデル構築-」のシンポジウムを開催いたします。
今回のシンポジウムでは、近年、大学の教育改革のキーワードの1つとなっているアクティブラーニングについて、その授業や学習活動を支えるための空間デザインの在り方をテーマに取り上げます。学校建築とワークプレイスデザインの分野から講演者を招き、人がよりよく活動するための空間を創ることに関して最新の事例をご紹介いただきます。
また、本学の取組についても報告し、講演者と共に、大学教育の中でアクティブラーニングを推進するために、学習環境デザインの観点から、どのような学習空間を創るべきかについてパネルディスカッションを行います。
現代GP シンポジウム 2009 チラシ 【PDF:1.65MB】
主催:東京大学 教養学部、大学院情報学環、大学総合教育研究センター
共催:東京大学 教養学部附属教養教育開発機構
後援:東京大学 教育企画室 教育環境リデザインプロジェクト
日時:平成21年2月20日(金)14:00-18:00
場所:東京大学 駒場Ⅰキャンパス 18号館ホール
東京都目黒区駒場3-8-1
京王井の頭線「駒場東大前」下車徒歩5分
・本企画の様子をビデオ・写真撮影し、広報・講演資料・現代GP報告書などに用いられる場合がありますことをご了承ください。
申込方法※既に終了しました
13:30~14:00 | 受付開始 |
14:00~14:15 | 挨拶・趣旨説明 |
東京大学教養学部 | |
14:15~14:50 | 報告:東京大学における学習環境デザイン |
山内祐平(東京大学大学院情報学環 准教授) | |
14:50~15:40 | 講演:外の教室/教室の外 |
工藤和美(建築家、シーラカンスK&H 代表、東洋大学 教授) | |
15:40~15:55 | 休憩 |
15:55~16:45 | 講演:触発するワークプレイス |
岸本章弘(ワークスケープ・ラボ 代表、ECIFFO 編集長) | |
16:45~17:00 | 休憩 |
17:00~18:00 | パネルディスカッション |
パネリスト:工藤和美 | |
パネリスト:岸本章弘 | |
パネリスト:筑紫一夫(建築家、建築都市研究所 代表、東京大学外部専門委員) | |
パネリスト:永田敬(東京大学大学院総合文化研究科 教授) | |
コーディネーター:山内祐平 |
氏名 | 経歴 |
工藤和美 | 建築家、シーラカンスK&H 代表、東洋大学工学部教授 横浜国立大学、東京大学大学院原研究室で建築を学び、スイスとオランダに研修 留学。在学中に設計組織シーラカンスを設立し、1997年には日本建築学会賞を受賞。住宅から幼稚園・消防署・美術館・学校など幅広く手がける。 |
岸本章弘 | ワークスケープ・ラボ 代表、ECIFFO 編集長 京都工芸繊維大学大学院修士課程修了後、コクヨに入社。コクヨ 株式会社、設計部門にてオフィス等のプランニングやインテリアデザイン、研究 部門にて先進オフィスの動向調査と次世代オフィスコンセプトの開発等に携わ り、91年からオフィス研究情報誌『ECIFFO(エシーフォ)』編集長をつとめる。 2007年4月に独立し、ワークプレイスの研究とデザインの分野でコンサルティン グ活動に携わっている。 |
筑紫一夫 | 建築家、建築都市デザイン研究所 代表、東京大学学部専門委員 |
永田敬 | 東京大学大学院総合文化研究科 / 教養学部附属教養教育開発機構 教授 1954年大阪生まれ.1982年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士).同大理学部助手,助教授,教養学部助教授,岡崎国立共同研究機構分子科学研究所助教授を経て1998年より現職.専門は分子科学 |
山内祐平 | 東京大学大学院情報学環 学際情報学府・准教授 1967年 愛媛県生まれ 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退 2000年 大阪大学助手、茨城大学講師、助教授を経て 東京大学大学院情報学環助教授 情報技術を用いた学習環境のデザインについて、開発研究とフィールドワークを連携させた研究を展開している。主著として「デジタル社会のリテラシー」(岩波書店)、「社会人大学院へ行こう」(NHK出版)など。日本教育工学会 研究奨励賞・論文賞受賞。 |
9月16日(火)に本学駒場キャンパス17号館KALS(Komaba Active Learning Studio)にて「KALSサマーキャンプ2008」を実施しました。本イベントは、学生の能動的な学習活動を促し、支援するためのICTツールや授業方法について、学内外よりアイデアを持ち寄って共有し、洗練しあうことが目的でした。具体的には、そうしたツールや方法の開発に取り組んでいる研究者やメーカの人々にKALSでデモを行ってもらい、参加者の皆でディスカッションを行うという形態をとりました。大学、高校、企業などから23名の参加がありました。
はじめに、企画者である教養教育開発機構の西森より、本イベントの趣旨が説明されました。授業の内容と方法を規定する様々な要因のうち、本イベントでは、主に教授・学習理論と技術・基盤について注目しながら、学生の能動的な参加が可能な授業の在り方、また、理論や技術をベースとした授業変革の実践や研究の課題とその解決について議論したいという旨が述べられました。また、あわせて、現代GPの支援を受け開発されたBlogシステムや大学総合教育研究センターのMeetVideoExplorer等を活用した、教養学部の基礎演習や英語授業の授業例が報告されました。この後、会場の参加者全員が簡単な自己紹介を行いました。
最初のセッション「授業で使えるICT(特にプレゼンテーションツール)の研究」は、産業技術総合研究所の栗原一貴先生が開発している「ことだま」「BorderlessCanvas」「プレゼン先生」の3つのシステムの紹介でした。「ことだま」は、従来のスライド方式のプレゼンテーションツールの授業での使いにくさに焦点を当てもので、発表の途中でも随時編集ができるという特徴を持ったソフトウェアです (http://dev.tyzoh.jp/trac/kotodama/wiki/)。体験の時間も用意され、参加者たちは、その大きな模造紙のような、ユニークかつ親しみやすいインターフェイスに触れることができました。「BorderlessCanvas」は、ことだまの拡張版で、複数のパソコンで1枚の模造紙を共有して編集を行えるものです。親となるパソコンから子のパソコンの画面制御を行ったり、子の書き込みを親にだけ伝えるなど、多様な役割制御も可能です。複数スクリーンの操作や協調的な資料作成などの利用事例が想定でき、KALSのようなたくさんのPCやディスプレイがある環境をより有効に活用できるツールです。「プレゼンテーション先生」は、プレゼンテーションを行っている人の映像と音声を解析して、話すスピードや言いよどみ、前を向いて話しているのかどうか等を判定するものです。ユーモラスなデモビデオに会場からは笑い声が漏れました。なお、このセッションの発表はもちろん「ことだま」を利用して行われました。
昼食休憩を挟んで、午後は、名古屋大学留学生センターの佐藤弘毅先生による「電子黒板を介したコミュニケーション支援」というタイトルのセッションから始まりました。このセッションでは「i-room」と名付けられた先生の開発したシステムの紹介が行われました。i- roomは、授業中に学生が手元のパソコンや携帯電話から、質問やコメント、「難しい」や「眠い」あるいは「そこをもう一度聞きたい」といった反応を随時入力すると、教室前面の電子黒板にリアルタイムにそれらが表示されるものです。Webサービスとして実現しているもので、利用者は標準的なWebブラウザから利用できます。このツールのねらいは、発言を促して共有し、また電子黒板上に参加者の視線を集中させるといった点にあります。この発表もまたi- roomを活用して行われ、参加者から度々発される質問やコメントをさばきながら、佐藤先生は説明を行いました。まるで講師の先生を囲んで皆で会話しているような感覚をもてた時間でした。
次のセッションは静岡大学教育学部の益川弘如先生からの報告でした。「ICTを活用した協調学習-理論と実践の知識統合支援-」というタイトルのもと、先生が大学で担当されている「スクールリーダー養成プログラム」の授業事例について紹介がありました。この授業はジグソー学習法を用いて、学生たちが他の学生と関わりながら、様々な学習理論を学び、自身で教授学習理論を構築するというものです。意見交換や情報蓄積の基盤として、wikiが効果的に利用されていました。この授業は、学習者とは主体的に知識を構築するものであり、協調的な話し合いを通して理解を深めることができるという、学習理論に基づいた設計がなされています。こうした理論から考えると、ICTは思考を「外化」し、共有できるところに利点が認められます。学生の参加を促すことに実効性が高いと考えられるジグソー法については、実際の運用のポイントなどに参加者の関心が集まりました。また来期より利用が予定されているビデオ共有システム(授業風景などを映したビデオにコメントをつけて他者と共有できるシステム)と、それを用いた授業内容についても発表がありました。
最後の報告者は、キーパッド・ジャパン株式会社の松尾理恵さんでした。キーパッド社の取り扱っているAudience Response System(TurningPoint)の製品紹介と、その普及状況などを紹介していただきました。この製品は、学習者がボタンを押すことで教室の反応を瞬時に集計できるシステムの一つですが、端末が小型で赤外線タイプの他に無線周波タイプのものある、レシーバをパソコンにUSBで接続してパワーポイントで集計ができるなどの特徴があります。集計用ソフトはPowerPointのアドオンとして無償で利用でき、様々な形式のレポート(集計結果の報告書)を生成することもできます。また、この秋に予定されているTurningPoint2008の新機能であるPowerPointに依存しない集計ソフトや、インターネット経由で携帯やパソコンから投票できるソフトなどの説明もありました。TurningPointは現在、全世界で500万台の端末が販売されており、日本では30大学で導入されているそうです。会場からは、授業で利用する上で気になる機能の詳細などについて、たくさんの質問が寄せられました。
最後のディスカッションでは、参加者が3つのグループに分かれ、今日の各報告への感想を共有しました。この中では例えば、学生からのレスポンスを集める方法としてどのような手法が望ましいのか、プレゼン先生のようなツールが持つ可能性や限界、ツールの普及や支援体制の在り方、そもそもICT を授業で使うこと・使ってもらうことを推進することの姿勢や課題、講義型と演習型の授業の利点と欠点など、多様な話題が挙げられました。全体としては、研究者が開発したツール、あるいは製品としてのツールを授業で使っていく上での支援体制の戦略的な構築について取り上げ、議論することができました。
このイベントを通して、東京大学の教養教育におけるICT活用の今後の展開のための豊かなリソースを得ることができたと同時に、大学教育に関心を持つ学外からの参加者の間で活発な情報交換を行うことができました。
趣旨説明 西森年寿 [PDF:2661KB]
授業に使えるプレゼンツールとは? 栗原一貴 [PDF:2167KB]
電子黒板を介したコミュニケーション支援 佐藤弘毅 [PDF:1065KB]
ICTを活用した協調学習-理論と実践の知識統合支援- 益川弘如 [PDF:11983KB]
東京大学現代GPでは、ICTを活用した新たな教養教育の授業モデルを、駒場アクティブラーニングスタジオ(KALS)というフレキシブルで各種ICTツールが利用できる空間を中心として、開発していている。
今回の企画では、全国の大学で授業方法の工夫や、ICT活用あるいはその研究開発に取組む先生等に、授業方法やツールのデモを、KALSの空間と各種の道具を舞台に行ってもらい、その後、参加者全員でディスカッションを行う。
このような実践によって、本現代GPの授業モデル開発のためのより豊かなリソースを得るとともに、全国の大学で同様の課題に取り組む人々の間での情報交換を活性化することが狙いである。
高等教育の教育改革、学習環境のデザイン、ICT活用といった分野に関心をもたれる皆様。是非、ご参加ください。
東京大学現代GP KALS サマーキャンプ
~ICTを活用したアクティブラーニングを考える~
主催:東京大学教養学部附属教養教育開発機構
日時:平成20年9月16日(火)10:30-17:00
17:30~ 懇親会予定(渋谷周辺)
場所:東京大学 駒場Ⅰキャンパス 17号館2階 KALS
東京都目黒区駒場3-8-1
京王井の頭線「駒場東大前」下車徒歩5分
・参加無料:事前登録制
参加条件
・本企画の様子を写真撮影し、広報・講演資料・現代GP報告書などに用いられる場合がありますことをご了承ください。
・本企画は、参加者全員でディスカッションを行う事を目的としておりますので、積極的にディスカッションにご参加していただける方を希望しております。
申込方法
・本イベントは終了しました。
・参加無料、ただし事前登録制(定員40名まで)
10:00~ | 受付開始 |
10:30~10:45 | 趣旨説明 |
東京大学教養学部附属教養教育開発機構 特任准教授 西森年寿 | |
10:45~11:45 | 授業に使えるプレゼンツールとは? |
産業技術総合研究所 情報技術研究部門 研究員 栗原一貴 | |
13:00~14:00 | 電子黒板を介したコミュニケーション支援 |
名古屋大学留学生センター 講師 佐藤弘毅 | |
14:10~15:10 | ICTを活用した協調学習-理論と実践の知識統合支援- |
静岡大学教育学部情報教育講座 准教授 益川弘如 | |
15:20~16:20 | クラスルーム応答システムPRSの紹介、国内外での活用事例 |
キーパッド・ジャパン株式会社 松尾理恵 | |
16:30~17:00 | フリーディスカッション |
17:30~ | 懇親会(実費負担) |
09/08/26現代GP サマーインスティチュート 2009 開催報告
2009年8月25日(火)に東京大学現代GP サマーインスティチュート 2009 を開催しましたので、実施結果をご報告いたします。
[開催報告]
発表資料 趣旨説明 [PDF:853KB]
2010/01/07 | 現代GP シンポジウム 2010 開催のお知らせ 2010年2月17日(水)に東京大学現代GP シンポジウム 2010 -大学・アクティブラーニング・社会- を開催いたします。 開催日時:2010年2月17日(水) 14:00-18:00 開催場所:東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館ホール 内容:東京大学大学院情報学環教授 吉見俊哉氏、リクルートワークス研究所 主任研究員 豊田義博氏、東京大学大学総合教育研究センター 准教授 中原淳氏をお招きして、現代の大学生に求められている人材像について、講演頂き、アクティブラーニングが持つ可能性についてディスカッションを通して迫ります。 詳細:シンポジウム 2010 大学・アクティブラーニング・社会 |
アクティブラーニングは大学における学生の積極的な参加を促す授業・学習方法として期待されています。同時に、今後の社会を担う若者たちに求められる能動的な問題解決能力を涵養する機会としても効果を持つように思われます。
元来、大学は会社で役立つ人材を提供するだけの機関ではありません。社会との緊張・相互関係の中で固有の教育目標を形成しています。しかしアクティブラーニングは、両者を有機的にリンクする可能性を持つように思われます。
本シンポジウムでは、大学が行おうとする教育と、社会が求める人材について、それぞれの立場から現状を確認し、アクティブラーニングがその間をどのように結びつけられるのかを考えます。
文部科学省現代GP採択取組である「ICTを活用した新たな教養教育の実現-アクティブラーニングの深化による国際標準の授業モデル構築-」のシンポジウムを開催いたします。
現在、東京大学はその教育ビジョンに「タフな東大生」というキーワードをかかげています。ここでタフとは、健康・体力のみならず、社会的なコミュニケーションの場におけるたくましさを意味しています。実際、グローバル化の時代を迎え、教養、専門知識に加え、新たな課題に果敢に挑戦し、幅広い分野・文化を横断していくコミュニケーション力や柔軟な思考力を持った学生の育成は、東京大学のみならず、現代の大学教育に広く課せられた課題でしょう。そして、このような課題に対して、学生の能動的な問題解決能力を涵養する授業・学習方法としてアクティブラーニングに大きな期待が寄せられています。
ところで、進展する国際化や情報化など社会の大変動に対応しなければならないのは大学だけではありません。とりわけ、日本の会社は大きな波にさらされ、そこでの人々の働き方は、かつて無い変革を迎えているように思われます。会社で新たな課題に向かい合わねばならない若者にとっても、「タフ」であることが求められているといえるでしょう。
ただし、ここで注意せねばならないことは、大学は、歴史的にみても、また理念的にも、単に社会で必要な人材を養成する機関ではなかったということです。それぞれ固有の目的を持ちつつ、緊張の中で、相互作用する関係にあるべきはずです。
そこで、今回のシンポジウムでは、こうした関係を再確認しつつ、ゲスト講師のお話から、これから大学教育が育てようとする学生像と、現在の日本社会で働く若者の姿を併置させた上で、大学教育が目指すもの、さらに、そこでのアクティブラーニングが持つ可能性についてディスカッションを通して迫ります。また、2年半の現代GPによるICTを活用したアクティブラーニング型授業実践の成果を報告するとともに、アクティブラーニングのさらなる展開への期待と課題について議論します。
学生の主体的な参加を意図するアクティブラーニング型授業の実施は、講義型の授業とは異なる工夫や努力が求められる取組みです。その労力にどんな意義があるのか、再度、アクティブラーニングを問い直す機会となればと考えております。
現代GP シンポジウム 2010 ポスター【PDF:2.88MB】
東京大学 現代GP シンポジウム 2010 – 大学・アクティブラーニング・社会 –
主催:東京大学 教養学部、大学院情報学環、大学総合教育研究センター
共催:東京大学 教養学部附属教養教育開発機構
日時:平成22年2月17日(水)14:00-17:30 13:30-17:00
場所:東京大学 駒場Ⅰキャンパス 18号館ホール
東京都目黒区駒場3-8-1
京王井の頭線「駒場東大前」下車徒歩5分
・本シンポジウムの様子をビデオ・写真撮影し、広報・講演資料・現代GP報告書などに用いられる場合がありますことをご了承ください。
申込方法:終了しました。
・申込みウェブフォーム
・参加無料、ただし事前登録制(定員200名 / 残席があれば当日参加も可能です)
※開始時間が30分繰り上げになりました。 | |
13:00-13:30 | 受付開始 |
13:30-13:40 | 挨拶 |
東京大学 総長 濱田純一 | |
13:40-13:45 | 趣旨説明 |
13:45-14:15 (30分) | 講演:タフな東大生はどこから生まれるのか |
吉見俊哉(東京大学大学院情報学環 教授) | |
14:15-15:00 (45分) | 講演:20代の迷走~変わる会社、変わるキャリア~ |
豊田義博(リクルート ワークス研究所 主任研究員) | |
15:00-15:20 (20分) | 講演:大学・社会・アクティブラーニング |
中原淳(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授) | |
15:20-15:30 (10分) | 休憩 |
15:30-16:00 (30分) | 現代GPの成果報告 |
16:00-17:00 (60分) | パネルディスカッション |
パネリスト:豊田義博 | |
パネリスト:吉見俊哉 | |
パネリスト:中原淳 | |
パネリスト:永田敬(東京大学大学院総合文化研究科 教授) | |
パネリスト:斎藤希史(東京大学大学院総合文化研究科 准教授) | |
コーディネーター:山内祐平(東京大学大学院情報学環 准教授) |
吉見俊哉 (Shunya Yoshimi) 東京大学大学院情報学環 教授 東京大学新聞研究所助手(1987年)、助教授(1990年)、東京大学社会情報研究所教授(2000年)等を経て、組織統合により2004年より現職。2006年から2008年まで情報学環長。専門は都市論、文化社会学(カルチュラル・スタディーズ)。 |
豊田義博 (Yoshihiro Toyoda) 株式会社リクルート ワークス研究所 主任研究員 東京大学理学部卒。株式会社リクルート入社後、日本を代表するビッグビジネスから中小・ベンチャーまで、数百社におよぶ企業の新卒採用戦略、広報計画業務 に制作ディレクターとして長く従事する。その後、『リクルートブック』『ガテン』等の就職情報誌の編集業務に携わり、『就職ジャーナル』『リクルートブッ ク』『Works』編集長を歴任。現在は研究員として、組織・人材マネジメントの未来形、新たな「人と組織の”いい関係”」、個人の就業意識や価値観の変 化などを探索している。 著書に『戦略的「愛社精神」のススメ』(2009年4月 プレジデント社)『「上司」不要論。』(2007年11月 東洋経済新報社)『新卒無業。―なぜ、彼らは就職しないのか』(共著/2002年4月 東洋経済新報社)がある。 |
中原淳 (Jun Nakahara) 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授 東京大学大学院 学際情報学府准教授(兼任)。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部、大阪大学大学院 人間科学研究科をへて、文部科学省メディア教育開発センター助手、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学 大学総合教育研究センター講師、2006年より現職。2003年、大阪大学より博士号授与。 「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・成長・コミュニケーションについて研究している。専門は人材発達支援論、職場学習論、学習環境デザイン。共編著・共著に「企業内人材育成入門」「ダイアローグ 対話する組織」(ダイアモンド社)など多数。研究の詳細は、 Blog:NAKAHARA-LAB.NET(http://www.nakahara-lab.net/)。 |
永田敬 (Takashi Nagata) 東京大学大学院総合文化研究科 / 教養学部附属教養教育開発機構 教授 1954年大阪生まれ.1982年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士).同大理学部助手,助教授,教養学部助教授,岡崎国立共同研究機構分子科学研究所助教授を経て1998年より現職.専門は分子科学 |
斎藤希史 (Mareshi Saito) 東京大学大学院総合文化研究科 准教授 1963年千葉県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程(中国語学中国文学)中退。東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は中国古典文学、清末‐明治期の言語・文学・出版。 |
山内祐平 (Yuhei Yamauchi) 東京大学大学院情報学環/学際情報学府 准教授 1967年 愛媛県生まれ 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退、大阪大学助手、茨城大学講師、助教授を経て2000年より現職。 情報技術を用いた学習環境のデザインについて、開発研究とフィールドワークを連携させた研究を展開している。主著として「デジタル教材の教育学」(東京大学出版会)、「「未来の学びを」デザインする-空間・活動・共同体」(東京大学出版会)、「デジタル社会のリテラシー」(岩波書店)、「社会人大学院へ行こう」(NHK出版)など。 |
平成21年8月25日(火)に、KALSにて、「東京大学現代GPサマーインスティチュート2009」を実施しました。本イベントは、これまでのKALSの取組みについて、モデル授業の概要や実施上の課題や工夫などをお伝えし、次に、参加者自身の関係する授業に関して、アクティブラーニング型の活動の導入を計画していただくというワークショップを行うものでした。大学教員、大学職員、大学院生、社会人など19名の方にご参加いただきました。
はじめに、主催者である西森より、本イベントの企画趣旨とともに、KALSの設備紹介や展開されている授業の紹介を行いました。
次に、参加者全員に簡単な自己紹介を行っていただきました。みなさま、新しい授業の方法として、アクティブラーニングへの高い関心をお持ちのようでした。
続いて、西森が1時間程度のミニ講義を行いました。まず、アクティブラーニングの定義について整理し、講義中心の授業での双方向性の確保なども含む、広義な意味でのアクティブラーニングを本GPでは志向してきたことを説明しました。次に、調査や討論、発表などのアクティブラーニングと呼ばれるような活動が、どのような意味で学習の質を高めうるのかについて、学習科学におけるMarcia Linnの「知識統合」の概念などに依拠しながら、仮設的なモデルをもってアイデアが語られました。さらに、そのモデルに準拠した形で、「PRSを使って相互評価を行う」「PRSを使って理解度を確認する」「ホワイトボードで意見を比較する」「実験」などのKALSでよく行われている活動パターンを取り上げ、それぞれが学習にどのような意味を持っているのか、実施の際にどんな点に配慮すればより効果的になると考えられるのかなどが、運用上のtipsとともに述べられました。最後に、アクティブラーニングを実施する際に、机や椅子の配置などの教室環境の準備が大きな意味を持っているということが述べられました。
15分の休憩後、2~3名で6つのグループが構成されました。グループには、何らかの授業の全体あるいは一部にアクティブラーニングを導入して、その授業のイメージを描いてみるというタスクが与えられました。何人くらいの学生で、どんな環境で、どのような活動を行い、どんな効果が見込まれ、どんな評価を行うのかなど、思いつく範囲でイメージを記述していただきました。各グループからは「学生が相互に教授しあう授業」「自分を紹介するホームページの作成」「PRSをつかった質問活動を埋め込んだ絵画の紹介活動」「ロールプレイをとりいれた科学技術者倫理教育」「プログラミングの授業で評価活動に参加させる」「実際の都市計画問題に取り組む学習」といったアイデアが生まれました。
1時間ほどの作業の後、お互いのアイデアを壁に掲示し、ポストイットでコメントを交換していただきました。不明な点、参考になった点などを交換し、最後に各グループからまとめのメッセージをいただいて会は終了しました。
ワークショップでは参加者のみなさまに大変熱心に取り組んでいただきまして、活発な意見の交流が行われ、たくさんのアイデアが創発された時間となりました。ご参加のみなさまには改めて感謝申し上げます。
現在、日本の大学教育では、アクティブラーニング、ラーニングコモンズなどのキーワードを中心に、学生の主体的な学習活動の支援に主眼をおいた、ICTを活用したフレキシブルな教室・学習空間の構築への関心が高まっています。しかしながら、学生の主体性を支援するという方向は、従来のシステムからの大きな転換も含んでおり、新たな空間を準備した上で、実際の教育活動をどう設計し、運用していくかなど、未知の課題を生み出しています。
東京大学KALSでは、2007年度秋より、現代GPの支援を受け、ICTを活用したアクティブラーニング型のモデル授業の開発に取り組んでおり、教養教育でのアクティブな学習活動の実践や、それを支えるためのツールの整備や運用ノウハウの蓄積などを行ってきました。今回、この現代GPの事業の一環として、サマーインスティチュート 2009を実施します(昨年度のイベントの様子はこちら)。
本イベントでは、まず、これまでのKALSの取組みについて、モデル授業の概要や実施上の課題や工夫などをお伝えしたいと思います。次に、参加者自身の関係する授業に関して、アクティブラーニング型の活動の導入を計画していただき、そこにICTやフレキシブルな学習空間がどのように活用できるのかなどを検討するワークショップを行いたいと思います。
このイベントを通して、全国の大学で同様の課題に取り組む人々の間での情報交換を活性化し、学生の主体的な学習を支援できるような大学教育の変革に向けて課題を整理できればと思います。
東京大学 現代GP サマーインスティチュート 2009
主催:東京大学 教養学部、情報学環、大学総合教育研究センター
共催:東京大学教養学部附属教養教育開発機構
日時:2009年8月25日(火)13:00-17:30
場所:東京大学 駒場キャンパス 17号館2階駒場アクティブラーニングスタジオ
東京都目黒区駒場3-8-1
京王井の頭線「駒場東大前」下車徒歩5分
参加対象
・全国の大学教職員のみなさんや、小中高の先生がた、その他この分野に関心のある方
・本企画では、ワークショップで実際に授業案を計画していただきますが、もし特に自分で計画するべき授業案がないようでしたら、その旨、申込みフォームにお書き下さい。その場合は、他の人とグループを組んで一緒に計画していただくなどの参加の仕方をしていただければと考えています。
申込方法
・終了しました。
・申込みウェブフォーム
・参加無料、ただし事前登録制(定員40名 / 残席があれば当日参加も可能です)
13:00~13:30 | 受付開始 |
13:30~14:00 | 企画説明・自己紹介 |
14:00~14:30 | 【講義】KALSにおけるアクティブラーニング型の授業づくり |
14:40~16:30 | 【ワークショップ】アクティブラーニング型授業づくり |
16:30~17:30 | ディスカッション |